あるおさななじみ・ともだち の いちにち 1

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5 18 25 40 51 81 93 101-102 110 121 125-126 171-172 186,189 245 257 305 371-372 379-380 402

□ 5 □
【あるおさななじみのいちにち】

すきなやついるのってきいてみる

おさななじみのやつ いるけどいわないとかいう

すごいむかつく
でもなんでむかつくのかってきかれたらこまるからむかついてないふり

おれだまったまんま
おさななじみもだまったまんま

このごろなんかすれちがってるきがするあるおさななじみのかえりみち

□ 18 □
【あるぶきようせめのいちにち】

だいすきなのにあいつはちっともきづかない

いらいらしてついきついくちょうになる

ごめんとあやまってむこうにいってしまううけ

いいたいことはいっぱいあるのに どうしてうまくいえないんだろう
うつだ

むこうでべつのともだちとたのしそうにわらってるうけ

いらいら

うけがはなしかけても またついきついくちょうになる

あくじゅんかん

うけはおれにきらわれてるとおもってるらしい
そのぎゃくだっつーの まじでうつ

あしたこそはすなおになろうとこころにちかってしゅうしんするぶきようせめのいちにち
でも きっとあしたもきょうとおんなじになるんだろうな うつ

□ 25 □
【あるしゅうしょくろーにんうけのいちにち】

どうきょしている おさななじみせめのあぱーとで せんたくものをたたむゆうぐれ

はやくしゅうしょくして やちんはんがくいれたいなーとおもう
むりしないで すきなしごとをみつけろと おさななじみせめはいうけど
あいつもしんにゅーしゃいんで かねがない

あいつにばっか むりさせらんない がんばろう、おれ
かたくけっしんしつつ ぱんつをさんかくだたみする しゅうしょくろーにんうけ

あ、すーぱーでたいむばーげんがはじまるじかんだ
きょうは せめがだいすきなはんばーぐにするぞ にくはたかいから おからはんばーぐだ

あわてあぱーとをとびだして すーぱーにはしる
しゅうしゅくきまったら まいにちせめにごはんつくってやれなくなくなるかも
そうおもうと ちょっとさみしい
しゅうしょくろーにんうけのゆうぐれ そろそろよる

□ 40 □
【ある ばれんたいんまえの いちにち】

おれは ちょこがきらいだ

けど おれのすきなあいつは ちょこがすきだ

(なにげなく なにげなく あまったちょこにみせかけて わたそうか)

こんびにの れじまえのたな すでにちょこがたくさん でも おんなもたくさん

おれ あまりにもふつりあい

そんなげんじつをしって たなからいっぽはなれたら よこからてがのびた

おれのすきな あいつのて

ちょこをひとつとって あいつがふりかえる

「なんだよおまえ うまそうなもん かおうとしてんじゃん」

あいつ はこのうらを しげしげとながめてから れじにいった

「おまえ ちょこなんかくいそうにねぇのにな なんなら はんぶんつ くおうぜ」

しょうがねぇな

こうはきどりで ひとことだけこたえた おれ

ほんとはうれしすぎてこえがでなかった ある ばれんたいんまえの いちにち

□ 51 □
【あるかたおもいしてるこうこうせいのいちにち】

あさおきて がっこうへいくしたくをする いつものじかんにいえをでると
いえのちかくで おさななじみのあいつが「はやくしろよ」とおれをまっていた
そういえばもう10ねんちかく こうしていっしょにとうこうしてるなぁ

くらすはべつべつだけど じゅぎょうのあいまにあいつにあいにいく
でも「いちいちくんなよ」といわれた「うっせーな べつにいいだろ」とこたえたが
ないしんおちこんだ ふざけはんぶんにいってるのはわかっているのに

ひるやすみ「いっしょにめしくおうぜ」とあいつがさそってきた
なんだよ さっきあんなこといっといて わけわかんねぇとおもいつつ
じつはすごくうれしかったりするおれってもうまっきだ

ほうかごはぶかつだ あいつとはちがうぶかつだけどかえりはいっしょ
しかしむかえにいくと おんなのこといっしょだった なんだよそいつ
「このこ ぶかつのまねーじゃーなんだ おれたちといえちかいんだって いっしょにかえろうぜ」
「まさか おれとおまえとそのこといっしょにか?」「ついでだからいいだろべつに」

なんだかわからないが むねがもやもやする「おれはひとりでかえるからいい」
おもわずそういいのこして はしりだした あいついったいなのかんがえてんだ?

おれひとりでかえるとはいったものの あいつらほんとにいっしょにかえったのかなぁ
じぶんかってなこうどうしといてなんだけど きになってしょうがない
ほんとおれなにがしたいんだ とくのうするかたおもいしてるこうこうせいのかえりみち

□ 81 □
【あるひきこもりうけのいちにち】

きょうもよどおしにちゃんねる もうすぐあさだ ねよう

ちゃいむのおとでめがさめる だれだばかやろう まだひるまえじゃないか

ドアをあけたらかつてのどうりょうがたっていた またきたのかしつこいやつだな

「とりひきさきがこのちかくだったから かおをみに」
えがおでべんとうをさしだすどうりょう うれしいのとどうじにみじめになった

そろそろでてこいよとどうりょう よけいなおせわだほっとけとおれ けんかになる

げんえきじゅうどうかたいひきこもりにねんめ かてるわけがない

つかれたのでそのままふたりでひるね めがさめたらどうりょうはいなくなっていた

さみしいのとどうじにむかついた しょうがないにちゃんでもするか

またちゃいむがなる なんだあいつわすれものでもしたのか

「ゆうはんのざいりょうかってきたからいっしょにくおうぜ」

ほっとするのとどうじになけてきた なんだなくなよとどうりょうがわらう
ふたりでたべたかれーはめちゃくちゃうまかった

はやいとこしゃかいふっきしようとひそかにけついする あるひきこもりうけのいちにち

□ 93 □
【あるおさななじみせめのいちにち】

ちゃりにまたがりおさななじみうけのうちへいく

「まだめしくってんのかよはやくしろ」
ぱんにかぶりつくうけをひきずって がっこうへしゅっぱつ
はいよーしるばー にだいではしゃぐうけ おまえはいつのにんげんだ

じかんがないのでちょうとっきゅう あぶねえなとうけがどなってるけどきにしない
ふりおとされないよう おれのかたにしがみつくうけ
くすぐったいけど うけとみっちゃくしてるこのじかんがすきだ

あっというまにがっこうについてしまった くらすがちがうのでおれたちはなればなれ
はやくほうかごにならないかな

やっとほうかご かえりはうけがじてんしゃをこぐ わざとだきしめたらおこられた

「おまえ いつもむりしてむかえにきてくれなくてもいいんだぞ」
おれがすきでやってるからきにすんなよといったけど
めいわくだったのかとすこししんぱいになったのであやまることにした
「ごめん」

なんであやまるんだよばかとうけがわらったのでおれもわらった
おまえをすきでごめん きもちわるくないかな でもすきなんだ

「ごめん」
もういちどあやまった それからぎゅっとだきしめた
ずっとこどものままでいたいとおもう へたれなせめのくるしいゆうぐれ

□ 101-102 □
【あるなまはげのくにのこうこうせいせめのいちにち】

そつぎょうしきのかえり ならんであぜみちをあるく
ゆうひのおれんじいろ ゆきをそめてきらきら

「そういやあすただか?おめがとうきょうのがっこさいぐの」
「あや ひんで。しんゆうとのわがれわすれんなや」
わすれたふりをしたけど ちゃんとしっているよ

「とうきょうさいげば ぎゃるとごうこんざんまいだべ がものかわくひま ねなー」
「なにはんかくしぇこど いってんなや おめみでった ぼうずあたまのじゃんごものだば むりだ」
なにをー と うけはぷんすか かわいいな
ひていしてはみたけど ちゃんとしっているよ
ぼうずあたまはのびるし とかいのせいかつにだってすぐなれる
こいつはめんけぇから きっともてもてだ

「ん?なした?はなのあだまあっけぐなってるや さびぃか?」
なんだい ひとのきもしらないで

わざとへんじしなかったら そのあとずっとむごん
ああおれのばかばか ほんとはもっといろいろはなしたいのに

おっきないっぽんすぎのしたにきた うけ きゅうにくちひらいた
「おれな しったげしんぱいなんだ
おめ うぢ つぐべ?
おれがとうきょうでがっこさいっでらあいだに
おめ どんどんおどなになっでまうべ?

おれのこど みすてないで けれ な?」

なあんだ おもってることは いっしょだったんだね

おれ いつのまにか なみだ ぽろぽろ
うけに なづき ぽんぽんされた
おれ ちょうかっこわるい
「なぐなやー おれまでかなしぇぐなってくるべー」
「ばがけ ないてね!! ……かふんしょうだ」

けんみんせいのせいか なかなかすなおになれない
あるえふりこぎこうこうせいせめの ふゆのゆうぐれ

●はんかくさい:くだらない、しょうもない ●なづき:おでこ ●えふりこぎ:ええかっこしい、みえっぱり ●がも:ティム(・∀・)ポー!!

□ 110 □
【めんたいこのくにのあるじもとしんがくこうこうせいのいちにち】

おさななさじみのあいつ はるから とうきょうの だいがく いくと
そけん そつぎょうまえ ふたりで まりんわーるど いくごたした

でも おさななじみ ちょっと おかしか
ずっと だまったまんま

しょうがないけん おれもだまっとったら とつぜん おさななじみ くち ひらいた

「おまえ だいがく いったら すぐ かのじょ つくるっちゃろ?
そしたら このでんしゃで まりんわーるど いくったい。
・・・・・・ずるかー」

ばか だいがく いったら めんきょとるっち いうたろ
だいたい でていくのは そっちなんに ずるいとか いわれるすじあい ないばい

・・・と こころでは おとこらしくいってやる おれ
おちこんでる こいつには なんでか よわいおれは だまって あたまなでちゃるだけ


「・・・・・・ずるかー」
まだ なんか いいようけど きかんふりして まどのそとの うみ みてる
ほんとは なきたい めんたいこのくにの あるじもとしんがくこうこうせいの にがつの いちにち

□ 121 □
【あるとかいそだちせめのいちにち】

だいがくでしりあった ちほうしゅっしんのうけ

おたがい まだともだちがすくないから めしもじゅぎょうもいっしょ
きづいたら なんかすきになってた

ひるやすみ しゃべってたら うけのけいたいにでんわかかってきた

「もしもしー おー ひさしぶりー #$'EF(!'$V*?><=~))='!&&!%#!()」

どうやらじもとのともだちらしい
ほうげんぜんかいで ぜんぜんききとれない

うけ すごいたのしそう
なにしゃべってるのか しりたいけどさっぱりわからない

「じゃあなー」
でんわしゅうりょう ほっとする
じもとのともだち?ときくと うけは うん とこたえた

はなしをそらそうと こんどていしゅつのれぽーとのそうだんをする

でも うけ にこにこしながら けいたいのがめんをちらちらみてる
そいつから でんわかかってきたのが そんなにうれしかったのかよ
むねが いたくなった

どうせ くだらないないようにきまってる、と
じぶんにいいきかせる あるとかいそだちせめのいちにち

□ 125-126 □
【あるけんしゅういうけのいちにち】

きょうはだいがくじだいからのともだちの けんしゅういせめとのむよてい

けんしゅういせめ じかんになっても まちあわせばしょにこない
なにやってんだあいつ いくらつかれてるからって まえからやくそくしてたのに

でんわしたら はなをすすったなみだごえがきこえた
あわててけんしゅういせめのいえにいく

かんじゃさんがなくなったんだよ
なんかいも なまえをよんだのに だめだったんだ
くらいへやで おちこんでないてる けんしゅういせめ

なにやってんだよ こんくらいでないてたら これからいしゃなんてつとまんねえよ
おもわず むかついて さけぶ
もっとやさしいことばをかければいいのかもしれないけど おもいつかない
やっぱり けんしゅういせめ ますますおちこんでる おれのばか

でんきもつけないで ふたり ゆかにすわってなにもはなさない
おれやくたたず
だけどほおっておけない おちこんでるこいつを ひとりになんてさせられない

きがついたらねてしまった
からだにはもうふがひっかかってる となりのけんしゅういせめ なにもかけずにうとうと

まぶたがはれた けんしゅういせめ
こいつはいまからこんなんでだいじょうぶなのか しんぱいになる
やさしくて こんなばしょには むかないんじゃないかな
なんだか むねがいたくなった はなのおくがいたい

とりあえずはらがへったから こいつをおこして よしぎゅうでもいくか
かたおもいにきがつかない せわやきけんしゅういうけのよふけ

□ 171-172 □
【あるにんげんふしんなうけのいちにち】

あさおきる きょうもゆううつ でもそろそろたんいがやばい

とうこう
かいだんきょうしつのすみにすわる
めだちたくない ひとりがいい

にこにことけなげせめがよってくる
またおまえか
なんでいっつもじゃけんにしてるのに よってくるんだろう
おまえでっかくてうっとうしいんだよ

「おはよう ぜんかいのこうぎののーととっておいたよ」

べつにたのんでない
たすかるけどな

おい それいじょうよるなよ
この こどもたいおん あつくるしいぞ

「きょうのこうぎはきてたんだね うれしいよ
きょう べんとうつくってきたんだ
よかったらいっしょにたべよう」

ふざけるな うっとうしい
おれはひとりで ぱんでもくう
「おまえぱんすきだよな
さんどいっちにしたよ
たまごも はむちーずも やさいもある」

こらこら ひとのはなしきいてないなこいつ
なんどことわっても もってくるし
つうしんぼにせんせいのはなしをよくききましょう
ってかかれた たいぷだ
ぜったい

「からあげはふつうのと
ころもがなっついりのと にしゅるいだ
ふるーつは さらだにして れいきゃくざいいれてあるからつめたいぞ」

うるさい うるさい いいかげんにしろ
おれはねむいんだ
こうぎののーととっておいたら くってやるからしずかにしろ

おいおい なに にこにこうれしそうにわらってんだよ
ぱしりみたいなことしてまで いっしょにいたいのかよ
そんなんじゃあ しゃかいにでてからくろうすんぞ

しんぱいしてくれてんだな うれしい って まじでばかだこいつ
しかたない いっしょにくってやるか
あかくなったかおをみられたくなくて
ねたふりをはじめる あるにんげんふしんなうけの いちにちのはじまり

□ 186 □
【あるにゅういんかんじゃのいちにち】

めがさめるととなりのべっどから おはようとかんじゃうけのこえ

はじめてこのびょういんでふたりがであったのはじゅうねんまえ
おなじとしごろのともだちがはじめてできた
おなじへやだからおなじびょうきだってすぐわかった

じゅうねんかけて なかよくなって
じゅうねんかけて かくごをつみかさねる
どっちがながくいきてられるかきょうそうだからな

おれはすこしでもながくいきたいとおもってたけど
おまえとあって おまえよりさきにしにたいとおもった のこされるのはいやだったから
でもいまはすこしでもながくいきたい おまえのさいごまでいっしょにいたいから
すこしおとなになれたのかな

めがさめるとおはようとかんじゃうけがあいさつをくれる
このびょうしついがいをしらないおれだけど それでもいいやとおもうかんじゃせめのまいにち

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□ 189 □
【あるにゅういんかんじゃうけのいちにち】

むかしこっそりあいつにうちあけたひみつ
「おれさっかーせんしゅになるのがゆめなんだ」
でもこんなからだじゃむりかなあ そういったら
なんにもこたえなかったかんじゃせめ こまったかおしてた

そこでやっときづいたばかなおれ
おれにはあったふつうのこどものじかんがこいつにはすこしもないことに

しょうらいのゆめはながくいきること
なあかみさま もしいるならこいつにゆめみさせてやって
こんなしろいへやのそとをおしえてやって おれはもういいから

でもかみさまなんていない よのなかはふこうへいだ

だけどおはようというとうれしそうにわらうかんじゃせめをみるたび
このよのなかをもっといきていたいとおもう あるかんじゃうけのいちにち

□ 245 □
【ある しんにゅうがくせい せめのいちにち】

あとすこしでよがあける
ふたりっきりのこどもべや めがさえて ねむれない

もうがっこうはじまっちゃうんだねと
おさななじみうけがならべてしいた となりのふとんでつぶやいた
おちつくまであうじかんがないかもね かおわすれんなよなんて ちゃかしていう

なのに とじたまんまのまぶたを なきそうなほど ふるわせてるから
おれはもうなにもいえず ただうけのてをぐっとにぎる

これからもずっといっしょにいられるさといいきれるほど
おれたちはこどもでもなく おとなでもないと きづいた
ある しんにゅうがくせいせめのいちにち あすから こうこうせい

□ 257 □
【あるなまけものりばのいちにち】

はらへったけど おきるのたいぎー

ふとんからでたくないぞ このやろー

あ まずい はらへりすぎてくらくらする



ぼ…ぼすけて…

ふとんのなかから ゆうじんたちにいっかつそうしん

ふとんからでるのはたいぎーくせに めーるはうてる



……
↓ おいおい だれかつっこみのめーるくらいくれよとにがわらい ますますたいぎくなってきた

どんどん

もうひとねむりと めをとじたら あらっぽいのっく

どうしたんだー いきてるかー なまけものりばー とだみごえのおまけつき

やっべ あいつほんとじょうだんつうじねーなあ ばいとすっぽかしてとんできやがったよ

わるいことしたなあとあせりつつ きまじめりばのつくるみそしるのあじをおもいだして しあわせになるあるなまけものりばのいちにち

□ 305 □
【さびしい おとこやもめの いちにち】

きょうもひとりで ごはんをたべる ちゃぶだいのうえの しゃしんと はなす
いいてんきだね もうはるだね おまえのすきな はながさいているよ
へんじのない しずかなへや すこしさむい はなびえのあさ

ごぜんちゅうは しょさいでものかき さっかというしょくぎょうは いえにこもりきり
まいにち まいにち だれともあわずに ふでをはしらせる
ときどき あれほうだいの にわをながめる いるはずのひとは もういない なんどみても いない

おひるすぎ むかしからのしんゆうが かおをだす てみやげかたてに あきれがお
あいかわらず しんきくさい せいかつだ きのこか おまえ
そんなことばも すこしうれしい いまでは おとずれるひとも かれぐらいのもの
きてくれて うれしいよ わらうと てれくさいのか そっぽむく

ゆうがた てみやげのさけ じぶんでのんで よっぱらう しんゆう いつになく からみざけ
なあおい いつまで ひとりでいるきだ いいかげん こもらずにそとへでろ
まだまだ おまえは わかいんだから こんなせいかつは よくないぞ
そういわれても しずかにわらうだけの やもめ いいんだよ ぼくは
つまのおもいでと きみさえたまに おもいだしてくれれば それで まんぞくなんだ

おまえは まだ おもいでじゃねえ
ふいにおこったように しんゆうはつぶやく ここにいるじゃねえか なまみで
なにもいえない やもめ だまって さけをつぐ きょうはのもうよ なにもかもわすれて

よなかすぎ よいつぶれたしんゆうのよこで しゃしんをながめる やもめ
いろあせても かわらない つまのかがやくようなほほえみ
だけど ねごとでしんゆうが なまえをよぶから
まだいくわけにはいかないんだ もうすこしだけ まって…

ただひとつだけ このよに じぶんをひきとめる みれん そのかたわらで
にがく かなしく ほんのすこしあまいさけをのむ ねむれないやもめの はるのよい

□ 371-372 □
【ある ふっとぼーらーの いちにち】

まんいんのすたじあむ
じぶんのなをよぶかんせいに むねがふるえる
あいするつまと かわいいこどもたち
きすをかわし しっかりみていてくれ、と だきしめる

ながかったようで みじかかった
あさまでなかまたちと さわぎとうした ゆうしょうのよる
よるもねむれぬほどの つらいこともあった
あしたからは すべてが おもいでとなる

ひかえしつで こえをかけてくる あいつ
「おい かんがえなおすきは ないのか」
もうきめたことだ それに このひざは げんかいだ
おまえの せっかくのぱすも きめられなきゃ いみがないだろう

あいつは、そうか、とひとことだけ
それいじょうは なにもいわない
さきに しりぞくじぶんを ゆるしてくれ

ぜつみょうの たいみんぐで あしもとにとどく かれのぱす
いつだって ぞくぞくするくらいの さいこうのぼーるだった
かれいじょうの ぱーとなーは どこをさがしても いなかった
こえにださなくても おたがいの かんがえてることは わかっていた
それも きょうが さいご

これからは あいつが ほかのだれかの あしすとをして
そいつと だきあって よろこぶすがたを ただみつめるだけ
そこにじぶんの いばしょは ないのだ
ゆにふぉーむをきて ぐらんどにたち かれのぱすをうけることは
もうにどと ない

「なぁ わすれるな おれのぱすは あんたのために ある」
もろすぎる ひざをのろい なみだを ひっしにがまんする
あるふっとぼーらーの げんえきさいごのよる

□ 379-380 □
【ある とししたのおさななじみうけ のいちにち】

あしたからひとりぐらしをはじめるぼくの ひっこしをてつだってくれた としうえのおさななじみせめ
あたらしいへやに さいごのにもつをはこびこんで きんじょのこんびにまで ふたり あるく

ついこのあいだまで らんどせるしょってたのにな といって わらう おさななじみせめ
なんだよ いつまでも こどもあつかいして なんて にくまれぐちをきく ぼく
いいじゃないか あとすこし あにきづらさせてくれよと くしゃくしゃあたまをなでられた

だいすきな おさななじみせめから きょりをおくために えらんだ だいがく
てつやで べんきょうして おやのはんたいも おしきって ごうかくを かちとった

かのじょができたと うちあけられたひから ずっと わすれようとしてきた こいごころ
らいげつ そのひととけっこんする せめへのおもいを きょうをさかいに たちきるんだ

おれんじいろにそまった ゆうやけぞらのした ゆっくりゆっくり ならんであるく
もうすこし あとすこしだけ こうして せめのとなりを あるいていたい
いつまでも みれんがましいじぶんが いやになる
がんばって とおくのだいがくに うかったのは そんなぼくじしんを かえるためなのに

つい こぼれたためいきに きづいたせめが どうした?と ぼくのかおを のぞきこむ
たんせいなかおが ちかづいてきて もうほーむしっくか なんてきく ぼくのきもしらないで

わすれようとしている おもいが からだのなかで あばれだす

れいせいになれと じぶんにいいきかせて なんでもないよと ぶっきらぼうに いいかえす
ばかみたいに あかくなったかおは きっとゆうやけが かくしてくれるだろう

いじっぱりなのは むかしからだなと やさしいこえがふってきて せめのてが ぼくのてをつつむ
いえなかった ことばの かわりに ぎゅっと そのあたたかいてを にぎりかえした

のんびりとしたほちょうで てをつないだままあるきだす せめのせなかが なみだでぼやけた
にじんだゆうやけぞらをみあげて せつないきもちをもてあます あるおさななじみうけのゆうぐれ

□ 402 □
【ある りゅうねんせいのいちにち】

ねむそうなめをして げしゅくのにかいからおりてくるやつらに
「おはよう」って しゃもじをふりまわす
ことしはいってきたやつらは やたらとしょくがほそいやつらばかりだ
おれががんばってこいつらのめんどうをみてやらなきゃ
そうおもいながら きょねんのいまごろもおなじことをかんがえていたなあと
すこしだけ さみしくなる

はるがくれば みんなはなればなれだなんて わかっていたけれど
こんなかたちではなれるなんて おもってなかった
わるいのは ぜんぶじぶん だからつぐなうのも ぜんぶじぶん

おれがかってにつけたあだな めいわくがりながらやめさせようとしなかった
まいあさいっしょにがっこうにいって おなじきょうしつでじゅぎょううけて
ばかみたいにさわいでたあのころが なによりもだいじだったってきづかされた

まあたらしいすーつをきて ひとあしさきにそつぎょうしょうしょをうけとるあいつを
せいいっぱいのえがおでみおくった そのきもちはほんものだけど
このまちのはるはおそいから いっしょにさくらをみれなかったことが
ほんとはひとつだけ こころのこり

まってて
おれはちゃんとがんばって むねはってあいにいくから
おまえがいまくらすあのまちで こんどこそいっしょにさくらがみたいから

さしだされたちゃわん うむをいわさずおおもりのめしをよそう
きょうもいちにちがんばれ そしておれもがんばれ のきもちをこめて
あのころとおなじさわがしさではじまる りゅうねんせいのいちにち

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