あるおさななじみ・ともだち の いちにち 1.5

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□ 215 □
【あるさらりーまんのいちにち】

こうこうからのしんゆうに とつぜんでんわもらって ひさびさにのむことになった
はやめについたいざかやで えだまめつまみながらまっていると
むかしとすこしもかわらないえがおが のれんをくぐる
うえいたーにびーるたのんで おれのむかいにこしをおろした

はこばれてきたぐらすにくちをつけて こくこくとのみほすと
わらいながらやつはいった 「こんどけっこんするんだ」
そのことばに あたまがまっしろになって こどうがはやがねをうつ
なんだよそれは それをおれにいってどうする?

ていきからだしてみせられたしゃしんには せのひくいおんなのこ
ああ こいつは こういうちいさいかわいいこがこのみだったっけと ふとおもいだす
そして じぶんよりにじゅっせんちもでかいふけがおのおとこなんか まったくがんちゅうにないことも

ぜんしんのちからをがんめんにそうどういんして
ひっしできんにくをうごかしてえがおをつくった
「おめでとう」 こころにもないことばをはきだして ついしせんをそらす
けれどやつは そんなこときづかずに
しきのひどりだの はねむーんのよていだのを しごくうれしそうにはなしてる
とうぜんさ おれのきもちにじゅうろくねんもきづかなかったやつだ
どんかんなのはよくしってる

おれはさいこうのしんゆうをえんじて なんどもおめでとうといった
なんどもなんども かせっとてーぷをまわすかのように
こころのない ことばだけのしゅくふくを
「いいやつ」とくゆうのえみをうかべて

いまはなにもかんがえたくない あるさらりーまんのいちにち

□ 323-324 □
【ある ねぼすけの いちにち】

おれは ていけつあつ そのへんの ていけつあつとは わけがちがう
すじがねいりの ていけつあつ

あさは ねむくて ねむくて おきられない
ふとんから まだ はんぶん ねているところを
ちちに どなられ ひっこぬかれて しょくたくに どすん と すわらせられる
かっぽうぎの ははが わらいながら みそしると めしを よそう
ぜんぜん かくせい しないまま ほんのうで めしを くう

ゆらゆら ねぼけながら きがえを すまして たばこやの かどで またいねむり
そこへ やってくる おさななじみ いつもどおりの あさ

また ぼたんが ずれてるぞ ほら ごはんつぶ あごにつけて しょうがないな
おはよう より さきに わらいながら かいがいしく おれのせわを やく
おないどしの くせに ほごしゃみたいに するのは どうも こいつの しゅみらしい
ははおやどうしも なかがよくて あかんぼうのころから となりぐみ
えんがわで ねぼけて ごろごろ ころがるおれを からだで くいとめていたと いうのは
たぶん ははおやの じょうだんだと おもう けど

ああ それにしても ねむい きのうのよる なんだか いやな ゆめを みて とびおきて
それから なかなか ねむりにつけなかったせいだ
ただでさえ はちじかん きっちり ねむらないと いちにち うまく めがさめない たちなのに
なんだったかな こわい ゆめだったのは なんとなく おぼえているのに

おもいだしたくないような でも わすれていては いけないような むなさわぎ
おもいだそうと すれば するほど てから こぼれる すなのように たよりなくなる ゆめのきおく

どうした まだ ねぼけてるのか
わらいながら てをひいてくれる おさななじみ

あれ

ふと きがついて かってに くちからこぼれる ことば

おまえ せんそうから かえってきたのか

せんそう? じぶんの くちから でた ことばに おどろく
そうだ かれが せんそうに いって かえってこなかった
あれは なんねん いや なんじゅうねん まえの ことだっただろう?

きおくが ぼやける けしきが かすむ
はなばたけの まんなかで たちどまると まえを いく おさななじみの あしも とまった
いっぱいの はなのなかで ふりむいた おさななじみは やさしく ほほえんだ

おまえ ねぼすけだから むかえにきてやったんだよ

なつかしい えがおに なぜか なみだが にじんだ
…そうか いつも そうだったもんな

さあ いこう みんなが まってる
つないだ てを にぎりかえし いつものように てを ひかれて つうがくろを あるく
その みちの さきは ひかりかがやく おはなばたけ

まぶしい ひかりの なかへ きえていく
ある ねぼすけな じいさんの やすらかな おわりのいちにち

□ 375-376 □
【あるよめいはんとしのおとこのいちにち】

あさめがさめる あぁ、おれまだいきてる いしきがある
あさといってももうおひる ばかをするなかまたちもそろそろおきだすじかんか
あんのじょう きんぱつのばかが びーるびーる といいながら あるいてる
ばかだな あいつ そうやってまいにちおれんちのまえとおってる
おれがまだいきてるのをかくにんしてるの ばればれなんだよ ほんとにばかだ
けいたいにちゃくしん やべぇ きょう やきゅうのしあいじゃん
はやくいかないとかんとくにおこられる
きんぱつのばかをよびにいく となりのいえだからすぐだ

ばかが えーきょうしあいってきいてねーよ といっている
きいてねえのは おまえだけだ ばか
くるまにのる こうこくのはいったびっつはちいさくて のりごこちさいあく
もんくをいったら きんぱつのばかがすねた ばかだ

こいつはおれがしぬってことをしっている
だからいつものたいどのつもりらしいとってもわざとらしいたいどでおれにせっする
ばかだからもろわかりで いつもばかだなとおもう

くるまのなか たばこのにおい となりのばかのたいおん
これをかんじられなくなるひがもうそこまでせまってきている
まわりがきえてなくなる おれのまわりのだいじなものがきえてなくなるんだ

でもほんとにきえてしまうのは おれ

きっとこいつらのなかで おれはおもいでになって ちょっとかなしいおもいでになって のこる
たまにおもいだすだろう とげみたいなそんざいかな
でもそんなんでもいいから ちょっとだけおもいだしてもらえればそれでいい

やきゅうのぐらうんどにつく もうめんばーがあつまっている
あやまりながら ほしゅいちにつくおれ
やきゅうのしあいをする これはにちじょうのふつうのおれ

しあいのあとはびーるをのんで ばかはなしをして
それぞれのいえにかえっていく おれもいえにかえる
そしてねる
ねるまえのきょうふ もうめをさまさないのでないかというきょうふ
あぁ きんぱつのばかのえがおをあしたもみれるだろうか


いつかきえてわすれられるおもいで それはおれか
まどろみながら そんなことをかんがえた でもすぐにねむりについた

あるよめいはんとしのおとこのいちにち

□ 562-571 □
【あるつよがりなわがままうけのなつやすみ】

あさおきてとつぜんきもだめしにいきたくなったので
きけんしこうゆうじんとあまのじゃくおくてせめにでんわをかける。

きけんしこうゆうじんが「じゅかいにいきたい」といいだすが
さすがにそれはしろうとにはおすすめできないっていうかいのちの
きけんせいがたかすぎるのできゃっかする。

あまのじゃくおくてせめはきもだめしのはなしにいちもにもなくはんたい。
「やだよのろわれるから」なんて、いくまえからすでにびびりまくってるから
じゃあいいよむりすんなってでんわをきろうとしたらちょっとかんがえて
「なんじにいくんだ。なかにはいったりはしないけどくるまはだすよ。」
のろわれるのはこわいけどなかまはずれはさみしいらしい。

けっきょくあまのじゃくおくてせめのくるまでれっつきもだめし!
かいちゅうでんとうまでかっちゃってうきうきのおれ

なびついてんのにさんざんみちにまよいまくって よていじかんをかなり
おーばーしてやっとのことでおれのじもとのなんとかじょうのしろあとの
いりぐちにとうちゃく。しろあとはもっとおくにあるらしく、くろく
そびえたつくらやみのもりのそうそういじょうのこわさにかなりびびる。

びびってるのがばれないようになんかわざとらしいほどあかるいこえだして
はしゃぎながらぜんしん。ほかのふたりのはんのうがうすいからちょっと
いらだって「へんじとかしろよ」っていったらにやにやして
「そのほうがりんじょうかんでるだろ」って、なんだよばかにしてんのか

まったくといっていいほどくらやみをおそれるようすのない
きけんしこうゆうじんが「かいちゅうでんとうをけそう」といいだす。
なんでだよあしもとみえねーじゃんとびびりながらはんろんしたら
「そのほうがくらやみにめがなれるだろ」いいながらみずたまりにあしを
つっこんでうめくきけんしこうゆうじん。なるほどたしかになれてないようだ。
あまりこんなくらやみになれたくもないのでばかやろうのたわごとはむしして
ふたたびかいちゅうでんとうのすいっちをいれる。

しろあとまでのみちのりはけっこうながく、うっそうとしたやまみちや
たかくそびえたつつりばしをおっかなびっくりわたりながらすすむ。
いいだしっぺだからいえやしないけど やっぱやめときゃよかったなあー
とか もういいからこのままひきかえさない?なんてこっそりおもう。
じぶんよりびびってたはずのあまのじゃくおくてせめがあんがい
へいきそうにさくさくあるいてるのがむかつく。

やっとのおもいでしろあととうちゃく。
なにもないだだっぴろいだけののはらに なんだしろあとって
こんなもんなのかおちむしゃのかけらもねーぜといちどうひょうしぬけ。

なごりおしそうにしろあとをうろつきまわるきけんしこうゆうじんに
もうかえろうぜっていったら まのわるいあまのじゃくおくてせめが
なんかやばそうなあぜみちをはっけん。なんでもうかえろうとしてんのに
そんなもんみつけるんだばかやろうそこなんかもうみちじゃねえし
おふだとかはられてんじゃねえかやだやだおれいかねぜってーかえる
なんて、くちがさけてもいえないいいだしっぺのおれ。

よっしゃせっかくだからいってみようぜってあるきだすふたりに
ふざけんなってねんをおくりながらあわててあとをおう。
あぜみちはこわいけどこんなこわいところにひとりのこされたら
はっきょうするぜったい。

やばそうなあぜみちはもはやみちなのかどうかもよくわからなくて
うしろをふりかえってももうおなじみちをもどるじしんがない。
まえにすすむしかないんだろうけどすすんでもそうなんの
かのうせいぜつだい。なんかひさんなあしたのしんぶんのいちめんとかを
そうぞうしながらそれでもすがるようなおもいでけいたいをみたら
とうぜんのようにけんがいになっててなきそうになる。

ひとりでうるっときていたらまたしてもおいてかれそうになったので
あわててあまのじゃくおくてせめのうでをつかまえる。
ちらっとこっちをみてうでをはがされたかとおもったら すっと
こしのほうにてがまわってれつのまんなかにおしだされる。

とちゅういっていかんかくにおいてあるさまざまなぶつぞうに
いたずらをしようとするおおばかやろうのきけんしこうゆうじん、
それをびびりながらひっしでそししようとするおれ、
なにをかんがえてるんだかわからないけどちょっとたのしそうな
あまのじゃくおくてせめ のじゅんばんであぜみちをすすむ
ろくでなしぱーてぃー。ちなみにぜんいんれいかんはぜろ

しばらくして、たてもののあかりがみえてきてちょっとほっとする。
と、どうじにあれはほんとににんげんがすんでんのか?ってぞっとする
いやなそうぞう。みたところどうやらおてらのようで、だんだんと
にぎやかになってくるこえに「きっとがっしゅくでもしているんだろう」と
あまのじゃくおくてせめがひとさしゆびをくちびるにあてる。
なんかあんしんして そうかかがっしゅくだったらこのさきちょっと
まいごになったらここにもどっておじゃましてよるがあけるのをまとうぜ
っていったらあほなこをみるようなめでわらわれた。
どうにかこうにかあるいてきたらさいしょにはいってきたいりぐちらしき
ばしょにいきあたる。いまとおってきたあぜみちはたんなるべつるーとで
ぶつぞうめぐりこーすみたいなやつだったんだということを いまさら
はっけんしたあんないずでおもいしる。

あんがいこわくなかったなーなんていいながらくるまにのりこむふたりに
しろあとがあれじゃひょうしぬけだよなーなんていっちょまえにつよがってみせる。
ほんとうはまだちょっとびびっててできることならはやくかえりたい。

これでもうかえるのかとおもってたら「つぎはどこいく」なんていっている
ふたりに「じょうだんじゃねぇおれはもうかえる」なんて、いいだしっぺ
だからやっぱりいえない。

つぎにいったばしょはもう ふつうににんげんのてがはいってるぼちで
よかったこれならぜんぜんこわくないぜってわずかながらに
もちべーしょんじょうしょう。かんがえてみるといまおぼんだから
おばけもいえにかえってるんじゃねー?だとしたらおれらあきすみたいじゃん
って さかのとちゅうにあるきゅうけいじょでだんしょう。
そういえばおれあしたしごとがあるっていうきけんしこうゆうじんを
えきまでおくってとりあえずかいさんのながれ。

きけんしこうゆうじんをおろしたあとそのままうしろざせきでくつろいでたら
「ちゃんとじょしゅせきにこい」ってあまのじゃくおくてせめにうながされる。
いちいちどああけてまわりこんでのりなおすのがめんどうだったから
しーとのあいだからむりやりいどうしたら「ぶしょうすんな」っておこられた。

そのままなんとなくぼーっとくるまはしらせて「で、どこまでおくってくんだっけ」
って、おいおいあんたいまさらかよって どこまでほんきかわからない
あまのじゃくおくてせめにつっこむ。

せっかくのなつやすみ。このままかえるのもなんとなくもったいないきがするし
さっきのおはかはぜんぜんこわくなかったのでちょうしこいてふとおもいだした
ことをくちにしてみる。

「あんたさあ、まえにじもとにはいびょういんとかあるっていってなかったっけ」
つれてってっつったらおこる?ってきいたらあんがいあっさり「いいよ」って
へんじ。なんとなくえんりょして「きょうはしんやにたのしみにしてたさっかー
のしあいあるんじゃなかったっけ」っていったら「びでおとってきた」って
さすがだなやっぱ。

またしばらくてきとうなことをはなしながらふたりっきりでろんぐどらいぶ。
だんだんねむくなってきたっていったら「おまえほんとわがままなやつだな」
ってふんがいされた。ねたらそのへんすててくぞせんげんをされてしまったので
がんばってまぶたをひらくことにせんねん。ねむけざましに めのまえのみらーに
ぶらさがってるなんかへんなにんぎょうにぱんちしたら「ねこかおまえは」と
てをはたかれた。てをさすりながらきょういちにちでこいつになんかいしかられ
たかなってぼんやりかんがえてたらいつのまにかもくてきちとうちゃく。

もくてきち、やばいほんまもんのはいきょ。
じさつしゃがでたってうわさもそのまんまうなずけるしゃれにならないやばさ。
はかばなんてたいしたことないじゃーんなんてこうようしてたちょうしこききぶん
しゅんじにほうかい。いっきにさいどおよびごしのおれ。

「な、まじすげーだろ。こわいからここからみるだけな」って
こんどこそおれとおんなじくらいびびってるあまのじゃくおくてせめ。
たしかにこれはほんとまじでやばいですさすがにこわすぎますぶるぶる。

こわいんだけどなぜかそのふうけいにあっとうされてめがはなせないでいたら
きがつくとかたごしにあまのじゃくおくてせめのかんしょく。
あれいつのまにこんなにきょりがちかづいていたんだろうおれもしかして
こわいからむいしきにこいつにくっついちゃってたのかなあなんておもっておたら
こんどはこしにてがまわってだきよせられて。おやあー?ってなんかやっとこ
このちょっとおかしなじょうきょうがのみこめてきたらうしろからぎゅっと
だきしめられた。

おれのかたにあたまのせてからだみっちゃくさせてくるあまのじゃくおくてせめに
なんかやばいほどどきどきしてきて いまここがものすげーおっかないばしょだって
ことよりもそういえばこいつのほうがとしうえなのにしんちょうたいして
かわんねんだよななんてことばっかりあたまぐるぐるしてどうしようなんだおれ
これぱにっくぜんかい。
えっとおれたちはたしかばいとさきでしりあってなんかきがあったから
よくつるむようになったなかのいいともだちできょうはさっきまで
きけんしこうゆうじんといっしょにさんにんできもだめししてて

たりないあたまふるかいてんさせるも、へんなあせかくだけでなにもかいけつせず。
「なんかへんなふんいきになっちゃったな」ってかたごしにわらう
あまのじゃくおくてせめに あたまぱにっくすぎてなにもいえない。
ちょっとこころなしかいきがあらいのがこわい

なんでかしらんけどあまのじゃくおくてせめのほうむくのがこわくて
まっくらなはいきょとそのうえにひろがるだだっぴろいよっぞらを
ひたすらがっつりぎょうししていたらうしろからやさしいこえがふってきた。

「こわい?」
ああこいつおれがはいきょのやばさにびびってんのしっててからかってきたんだな
とおもって「あんたのほうがこわい」ってこたえたらいっしゅんとまって
「ごめんね」って へんにやさしいしゃざいのことば。

いてもたってもいられなくなって、はいきょのほうゆびさして
「はいろうぜ!」ってきもだめしさいかい。
やばいくらいしんぞうたかなってるけどきにしない。きっとむしゃぶるいだと
おもうことにして[たちいりきんし]のかんばんをけたおす。

「おまえさっきまでこわがってたくせに」って、ちょっとびびりながら
ついてくるあまのじゃくおくてせめとちょっときょりをおいて
しろあとのときよりももっとどきどきしながらたてもののおくに
ずんずんすすむ。こわいことはこわいけどもしかしたらさっきとちがって
ちょっとたのしいかもしれないきがする。

ずたぼろになったべらんだからみえるふかいふかいみずうみはちょっと
むかしみたえいがのわんしーんのようだし つきあかりあびてあおくうかびあがる
くちたたてものはそれなりあんがいみりょくてきにみえた。
すげえまじすげーとこうふんしながらそこらじゅううろうろしてたら
おくのくずれかけたところにやばそうなかいだんをはっけん。
ぼうけんしんまっくすですすもうとしたらあまのじゃくおくてせめに
「だめだかえろうほんとうにやばい」とうでをつかまれた。

なんだよじぶんはしろあとでへんなあぜみちみつけたくせに。
もんくいいたいけど「ひとりでいけ」っていわれるのもちょっといやだから
ここはおとなしくいうとおりにする。もどるとちゅうなぜかてをからめられて
けっかてきにおててこいびとつなぎ。くらくってかおがよくみえないけど
なんだこいつそんなにこわかったのか

くるまにもどってひといきついて。いきなり「さっきはごめんな」って
あやまられる。どの[さっき]のことなのかなんであやまるのかよくわかんないので
てきとうにへんじしておやつぶっしょく。どいつせいとかいういかにも
てんかぶつまんさいのいろのぐみ、あじがこすぎてちょっと「うっ」となる

またしばらくはしって「で、どこまでおくってくんだっけ。」
ちょっとなぐろうかとおもいながらなびのがめんにうちのきんじょの
しょうがっこうをうちこむ。

きけんしこうゆうじんがいっしょだったらかいだんあのままつっぱしってたなあ
とかまたなんかてきとうなはなしをしながらよみちをはしるあまのじゃくおくてせめ
とおれをのせたでかいまーくつー。さっきたべたぐみのせいかかーぶがずいぶん
つづいたせいか、はらがむにゃむにゃするのでくるまとめてきゅうけい。

たばこぷかぷかして「だいじょぶかー」なんていうあまのじゃくおくてせめが
さっきからあんまりおれのほうをみないのになんとなくきづく。
けのかたいいぬみたいなかみのけをくしゃっとしてやったら「おれはいぬじゃない」
っていつものようにおこるけどやっぱりなんだかおれのほうをみない。
ちょっともやっとしたけどきづかないことにして「もうだいじょうぶ。いこう」って
あまのじゃくおくてせめよりさきにくるまにのった。

なびをくししてやっとのことでうちのきんじょのしょうがっこうまえとうちゃく。
くるまおりようとしたらよびとめられてまたしても[さっきのこと]を
もうしわけなさそうにあやまられる。「わすれて」っていわれてそのときのおれは
どんなきもちだったかよくわかんないけど へんなかおしてあいつに「おつかれ」
っていってたとおもう。

きのうはなんかへんにながいいちにちだったなあーって
よくあさふとにゅーすみて「さっかーけっきょくまけてたな」って
あまのじゃくおくてせめにめーるおくったらそれのへんじとともにまた
[きのうはごめん。はんせいしてる]ってかいてあっていいかげんほんきで
あまのじゃくおくてせめにはらがたってきた。きたんだけど、それをけっきょく
どうしたらいいかわからなくって もてあますきもちでけーたいにやつあたり。
べっどにほうりなげてそのうえからくっしょんでふたしてこのままいちにち
ほうちぷれいだ

あたまぱにっくのあまりいえにかえってからしおをまくのもわすれて
もんもんとしてる あるつよがりなわがままうけのなつやすみ。

□ 574-575 □
【ある かたおもいの せめの いちにち】

こんやが さいごの よるだね と つぶやくと うけの てがとまる
なんでだ と かたいこえで いいかえしてくる うけ
どくしん さいごの よるだろ というと
ああ そうか と きぬけしたように つぶやいて ぬるい びーるを あおっている
なんだか かみあわない さいごの よる

よめさん きれいだね
おまえは しあわせだね

だまって うけは せめを みる
なんだか なきそうな かおになる うけに せめは ほほえむ

いじわるじゃ ないんだよ ほんとうに おもってるんだよ
しあわせに なってくれないと おれが うかばれないじゃない

いうな

うけが はをくいしばって うなるけど
さいごくらい いいじゃないか いわせてくれよと せめは つぶやく

おれは ずっと おまえのこと

いうな!
たのむから いうな

くるしそうに おえつする うけを しずかな めで みつめる せめ

しっていたよね おまえは さいしょから
しっていて おれが そばに いるのを ゆるしたよね
うれしかったけど もう げんかいだし
おまえは けっこんするんだから やっぱり きょうで おわりなんだ

おれは しつれん したんだね
そういって わらうと なぜか うけが なきだす

おわらせたく なかったんだ
ずっと ともだちで いたかったんだ なのに

そうだね

でも しかたないね

めをふせる せめの みみに うけの きれぎれな なきごえが ひびく
のどを とおらない さけを むりやり ながしこむ さみしい うけの けっこんぜんや
ひそやかに おわる ゆうじょうと かなわない おもいを かみしめる
ある かたおもいの せめの いちにち

□ 627-630 □
【ある おくびょうせめの いちにち】

『はなびたいかい いっしょいこーって
 ばっかじゃねーの、おまえ
 おれなんかさそってないで おんなさそえよ、おんな』

なんていいながら ほんとうはしぬほどうれしかったりするわけで
くらすめいとのあいつからのでんわ にくまれぐちたたきながらも
じつは かたてでがっつぽーずきめてる なんともちきんなおれ

どこがどう なんて わからなくなるくらい
すきだってかんじょうしかなくて
そのくせ うっかりきもちをつげて
いっしょにいられなくなるなんてことになったら たえられるわけもなく
けっきょくはこうやって ささいなよろこびだけをあつめるまいにち

はなびたいかいに やろうがふたり
それってどうよ? とか もしかして? とか
みょうなきたいがふくらみそうになるのを おさえつけおさえつけ
まちあわせばしょのえきでまつ

……ゆかたとか きてきやがったら まじどうしよう
つーかもう はなびはじまってんですけど
とけいとはなびを こうごにみくらべながら
ほんじつ34かいめのためいきをこぼす

『おー まったかぁー?
 おくれてわりーぃ』

きたいではねあがりそうなしんぞうをだまくらかして
まちわびたこえにふりかえったら
なんのことない いつもどおりのかっこう そりゃそうだ
おれ なんとなく がっくりとかたをおとす

『なんだなんだー げんきねぇなー
 あめちゃんやるから げんきだせー?』

いらねっつってんのに わざわざ おれのじーんずのぽけっとに
あめだま いっぱいいれてくる
たのむ なんか そこはちょっと

『わーかったから あめもらったから
 おめーはだまって はなびみとけや!』

いききらせながら なんとかそういうと
『おー ちゃんとなめろやー?
 っと ここつかませといてな』
って おれの てぃーしゃつのすそつかんできた
ひとごみがすごすぎるから はぐれないためだってわかってるけど

けど
……
けど

いまならはなびのおとにかさなって かきけされるだろう
きっと こいつのみみにはとどかない

『す
   き だ』

どーーーー……ん  ぱらぱらぱら………

せいいっぱいのことばは なんだかのどでひっかかって
いままででいちばんおおきなはなびのおとと
まわりのひとのかんせいに まぎれて きえる

『おー すげー
 いまの きれーだったよなぁー』

のうてんきなこえをだしてはなびをみつめるやつのかお
めのなかにはなびがうつりこんで
きらきら きらきら
うすくひらいたくちびるも なにもかも

『だなー……うん まじ きれー……』

なんて ぼんやりかえすことしかできなくて
へんにあせのかいたてのひらも
みょうにいきぐるさをかんじるのどのいたみも
ぜんぶ このむしあつい よるのせい ぜんぶ

ほっとしているはずの こころのどこかが
ほんとうはさけびたいほどいたんでることをごまかして
だまってはなびをみあげる おくびょうせめの なつのよる

□ 638-640 □
【ある ちょうこうしをめざす しょうねんの いちにち】

おれのいえは しょうてんがいにある
「かおり」のせんもんてん
いつかせかいじゅうに あいされるかおりを
つくりあげるのが おれのゆめ

あさおきると すぐにしたくして そとにでる
「おはよー」
と こえをかけてくるのは
おなじしょうてんがいにある はなやのむすこ
おなじとしで
きんじょにある おなじどうじょうに かよっていて
ようちえんも しょうがっこうも
いまかよっている ちゅうがっこうもおなじ
いわゆる おさななじみというやつだ

いっしょにつれだって しょうてんがいをぬけ
でんきやの かどをまがり
どてをはしって そのさきの こうえんをぬける
いつものじょぎんぐのこーす
こうやって こいつとふたりじょぎんぐするのが
いつのころからか まいあさのにっか

こうえんで ちょっときゅうけい
はなやのむすこ
あたまからみずをかぶって きもちよさそう
ぶるぶるとこいぬのように あたまをふると
うすちゃいろのかみから しずくがとんできらきら

きゅうけいのあと かるく くみて
おれよりずっと ちいさくてきゃしゃなのに
いざ てあわせすると
おにのようにつよいなんて はんそくだ

もうそろそろもどるか とこえをかけて
またふたりつれだって はしりはじめるかえりみち

かぜにのって こいつの あせのかおりが
はなをくすぐる
ほんのりあまいかおりなのは
こいつのいえが はなやだから……か?

おまえきのう なにくった? ふときいてみる
「ばんめしは やきにく〜
 そんでやしょくに たんたんめんとぎょうざくった〜」
そういって ひゃははとわらう はなやのむすこ

やきにくと たんたんめんと ぎょうざをくった
だんしちゅうがくせいの あせのかおりを
あまいかおりだと かんじるなんて!と
じぶんの はなと しょうらいのゆめに
ふあんをかんじはじめた
ある ちょうこうしをめざすしょうねんの
いつもとおなじあさ

□ 723-725 □
【ある かたおもいちゅうの せめの いちにち】

どすうがあわなくなった めがねをしんちょうしにいったはずの てんねんうけ
うっとうしくなってきた まえがみもきって さっぱりしたいと いっていた

よくあさ まちあわせばしょにきたてんねんうけは かれいなへんぼうをとげていた

こどものころから かけていた やぼったいめがねと おもたいまえがみが なくなって
のぞきこんだら すいこまれそうな きれいなめが おしげもなくさらされてる

かみ、きりすぎたかな? なんていいながら まえがみをつまむ てんねんうけ
わるくないんじゃねーの とか むかんしんを よそおって こたえる おれ
りょうわきを とおりぬける つうこうにんが ちらちらとしせんをなげてくる
よせ みるんじゃねえ こいつは おれのだ とは いえない かなしさ
うざったい がいやのしせんは たえずまとわりついてくる くそ いらいらする

めんどいから こんたくとにはしないって いってなかったか?と さぐりをいれたら
がんかにいったら こんたくとをすすめられたとこたえた いしゃめ よけいなことを

ねるときにはずすの ついわすれちゃうんだ ちょっとこまったかおで いいながら
のほほんとわらう ゆにせっくすな そのかおが かわいくてたまらない ちくしょう

しかしまいった これからさきこいつは こんなひょうじょうをだれにでもみせるんだ
たちまち きぶんがおもくなる おちこむおれをみて てんねんうけがきょとんとしてる

のんきに はなのしたを のばしてるばあいじゃない
すぐにむらがってくるだろう きょうてきと たたかうかくごをきめる おれ
がいちゅうどもに だいじな てんねんうけを わたすわけにはいかない

おれだけがしってた こいつのみりょく いまさらだれかに ゆずってなんかやらない

ひとり あつくなる おれを てんねんうけが くびをかしげて みつめる
としそうおうとは とてもいえない じゅんすいさも なにもかも いとしい
りゆうなんてない せいべつだってかんけいない おれは こいつがすきだ

じっとみつめていると やっぱりへんかな?と まゆじりをさげて いう てんねんうけ
めをあわせたまま いっそ ほんとうのきもちをいってやろうかと くちをひらきかけて
しかられるのをまつこどものようなかおで みあげてくるあいてをみて なにもいえなくなる

ためいきをついて べつにへんじゃねえよ、とすてぜりふをはく ちきんなおれ

いつかかならずおもいをつげようと あらためてこころにちかう あるせめのいちにちのはじまり

□ 746-747 □
【ある おいてきぼりにされたせいねんの いちにち】

なんで おまえ そんなしんどそうなかおしてんの
そういったら あいつはむりやりにわらった

なあ いっしょにきてくれるか?
やっぱりしんどそうにいうから いいよ とうなずいた
あいつはなきそうなかおで やっぱりむりやりにわらった

てをつないであるく
しらないみちだ
きょろきょろしてたら すこしあかるいわらいごえがした
むりやりじゃなかった
すこしほっとした
ほっとして なぜだかおれのほうがしんどくなった

なあ ほんとにいいのか
ほんとに ほんとに いっしょにきてくれるのか
あんまりねんをおすから おれもむきになっていいかえした

いいにきまってるだろ
おまえとだったらどこだっていってやるよ
てんごくだってじごくだっていっしょにいってやるよ

あいつはきょとんとしたかおで おれをみた
おれはすごくはずかしくなったけど じっとあいつをみていた
そうしないと いけないような きがしていた

やっぱりなきそうに あいつがわらった
でも むりやりじゃなかった
そんなきがした しただけかもしれないけど
そして ごめんな ひとことだけ いった

きがつくと おれは ベッドのうえでねていた
ぐしゃぐしゃにないた おふくろが おれのかおをのぞきこんでいた
はしっこのほうにみえた おやじのめは みたことないくらい あかかった

はくいをきた まじめそうないしゃが おれのかおや からだをさわった
そして ほっとためいきをついて うなずいた
おふくろは みたことないくらいないて よかった よかった なんどもいった
もうバイクなんてやめなさい ね おねがいだから
つまりがちな おふくろのこえで やっとおもいだした

ひさしぶりに あいつとツーリングにいった
おれも あいつも ばかみたいにうかれてて だから

なあ かずは
かすれたこえで おれがきくと
おやじもおふくろも こおりでもさわったみたいにこうちょくした
あのね かずくんはね かずくんは
おふくろがまた なきだした

ばかやろ ばかやろ ばかやろう
いっしょにいくっていっただろ
てんごくだって じごくだって いっしょにいくっていったのに
おれだけおいて いきやがって

おやじ おふくろ ごめんな
おれ あいつといってやりたかったよ
あいつ ないてないかな さみしくないかな

あいつが おれをつれてかなかったわけ
きづくのにはまだはやい おいてけぼりにされたせいねんの
はじまらなかった こいのおわり

□ 799-802 □
【あるよびこうせいのいちにち】

つめたいいろのあおぞらに いきをはくと しろいもやができる
よほうしいわく いちがつなみのきおんですあたたかいふくそうでおでかけください
あいつさむがりだから いまごろふるえてるかな

よびこうがえりに ろーそんでかったのはほっとここあ
あいつのこうぶつ みつかるとぼっしゅーと
さんこうしょだらけのかばんにひそませて びょういんのもんをくぐる

ひょうじをみなくとも かよいなれたもくてきちにはすっとたどりつく
どあをあけると きこんでもこもこになったあいつが べっどでまんがよんでる

「お きたか」 あいつがわらう
なにもいわずにここあをさしだすと へっへっへとわらってうけとる
かぽっとあけてひとくち なんともしあわせなかお
まぬけづらをみていると べんきょうづかれのおれののうみそさまもやすらぐ

「ぜんこくもし どうだった」
のきなみえーはんていだったよとこたえると
よゆーねとわらいがかえってくる

きょねんおちたのは はばねろくいすぎでいかいようになったから
というのはあいつにむけたばればれのうそ
このしんぞうのわるいおさななじみは ことしはじめこんすいじょうたいにおちいった

それはちょうどせんたーにゅうしのひ
ときなれたすうしきも かんぺきあんきしたぶんぽうも
そのひはみしらぬうちゅうのげんごのようにみえた
おれは いしゃになるのに おまえのことなおしてやるってやくそくしたのに
そんでじゅーねんたっても そのやくそくはかわらんまま ここまできたのに
もんもんとしながら うちゅうげんごをかいどくしようとしたら
「えんぴつを おいて ください」
もちろんおれは あしきりをくらった

いまこうしてわらいあってはいるけど
こいつのしんぞうは つなわたりしてるみたいにふあんてい
さいきんふっきれたようにみえるたいどが ぎゃくにこわかったり

「しゅじゅつのひきまったよ」
けろっとしたかおで ここあをすすりながらあいつがいう
「せんせいが しょーねんばだから とにかくがんばれ って」
「うん がんばれ おれなにもできないけどおうえんしてるから」
「おまえがそーゆうんなら ってどーがんばればいーんかわからんな はは」
「そゆこというな たのむからがんばれ」

あいつがしんけんなかおになる おれはなんだかこわくてとりはだ
「あの おれ こんかいもう はらすわってるのよね
 いつしんでもいいように こころのこりないようにいきてゆきたいわけ」
「だから そゆこと いう な ばか」
「なくな さいごまできけ というわけで おれは いいます」
「なんだよ なんだ きくけど ゆいごんとかそーゆうのやめてくれ」

「おまえが すき です」

ふたりきりのびょうしつにへんなちんもくがながれる
「へ?」とおもわずまぬけなへんじをしてしまう
あいつのかおはいたってまじめで かおがちょっとあかいぐらい
「それって どーいう すき なの」
「れんあいたいしょーとしての すき です ぶっちゃけおまえおれのはつこいのひと
 きすとかしたいの わかる?」

おれはあわてる
「え いやおれ おまえはせかいいちのしんゆうだと おもってっけど あのその
 ……ごめん おれの すき はともだちのすきでおまえの すき とはちがう
 これ ふってる ってことかな なんかおれびょうにんにむちうってる?」
「おまえ しょうじきだなー じひのかけらもないやつだ」
「ごめん」
「いいから しつれんしたゆうじんに かた かせ」

すなおにからだをちかづけると ぎゅううううとだきしめられた
「すきだすきだすきだすきだすきだきだすきだすきだすきだすき だっ」
ぱっ とかたをはなされる
「ふー これでいっしょーぶんいったかな わがじんせいにいっぺんのくいなし」

こんどはおれが もこもこにつつまれたうすぺらなかたをだきしめる
「いっしょーぶんとかゆうな ふゆになってもはるになってもすきなだけいえ
 おれがすきならしぬな じじーになってもあたってくだけろよ
 いつかふりむいてやるかもしれんから」

あいつはうっかりふきだした
「おまえ じいしきかじょー そんなとこもすきだけど」
ぽんぽんあたまをたたかれる おれはかおをあいつのかたにうずめたまま
あつぎしたふくにじわじわなみだがしみこむ
「やくそくわすれたのかよ」
「そーだな やくそくしたもんな おまえがいしゃになるまで おたがいがんばるんだよな」

こいびとにはなれないけど せかいいちのしんゆうとして おれはいのる
かみさまどうか じゅうねんまえのやくそくをまもらせて
そしてまたふたりでばかやって わらいあえるひがきますように
このなみだがなんでもなおすくすりになって
こいつのしんぞうにとどけばいいのにとおもう あるよびこうせいのいちにち

□ 818-819 □
【ある すぽーつばか ふたりの いちにち】

すごいおとがにかいからしている がっしゃん がしゃん ばき
にがわらいしているせめのおかあさんに あいさつして にかいにあがると
せめのへやが あらしがとおりすぎた みたいに ぐちゃぐちゃ

きょう れんしゅうじあいでまけたのが よっぽどあたまにきたんだなあ
だまって とぐちから せめのあらいいきで ゆれるかたとせなか ながめる

ずっとむかうところてきなしで まけしらずだったもんな
はじめて まけて くやしいんだよな わかるけど
ものにあたるのよくないです やれやれ とてぢかなものから かたづける

「ぜんこくたいかいのけっしょうでまけたなら まだしも
れんしゅうじあいで あんなくつじょく ゆるせねえ」?
あーあ やっぱり ぷらいど ずたずたにされちゃってるみたい

あんたのそういうとこ かわいいし かっこいいけどね こころのなかでおもいながら なだめる
れんしゅうじあいで よかったじゃないの
「なにがいいってんだ」とさけぶ せめに ほほえむ

ぜんこくたいかいのけっしょうで あいつ たおせるだろ?
これから りべんじ はじめるんだろ?
おこってるひま ないんじゃないの。

いきおい そがれたみたいにこっちをみてるせめ そのめのまえで
つくってきた れんしゅうめにゅーと あいてのでーた けいこうとたいさく
そのしょるいのたば きれいにかたづけたてーぶるに どん とおいて
ほら とうながす

さ やろうや みーてぃんぐ
めにもの みせてやろうぜ

「なんだ おまえ このたんじかんで よくそんなしりょう つくれたな」
あきれたような おかしいのがまじったような せめのかおに わらいかえす

おれだって あたまにきてんすよ これでも
だって あんたがいちばんじゃなきゃ いやだし いつでも どんなときでも

そか とてれたようなあいづち ちょっと ねえ こっちもてれるから やめて
てれかくしに ばさばさ しょるいいじって まとめる

「おれも いちばんでなきゃ なっとくできねえし」
うん とこたえると ぶっきらぼうなこえ

「…いちばん つよくないと おまえ もっとつよいほうに いっちまいそうだし」

…は?
なんかいった? きゅうに ええと
なんなのそれ おこるよいくらおれでも

「だってつよいやつ みてるのすきだろ」って?
そりゃあすきですけどね だからあんた さぽーとしてるんだけど
なんでそれが そうなるの

おれ そんなふうに みえるの?
なんか え? あんた そんなふうにおれのことみてたの
「よそのこうこうとも こうはいとも なかがいい」?
いやそれはあんたがめんどくさがってやらないことを かわりにね やってるんですよ?
ふつう じぶんで やるんだよ きほんですよ
ていうか なんなの そのいいがかり

■ 120-123… ■ 

どくりつしています。
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