□ 298 □
【ある しゃいんにあこがれる あるばいとしょうねんのいちにち】
「あしたも ちーふにあえる」
それだけをたのしみにつづけてた、あるばいと。
それなのにげんじつはなんてざんこくなんだろう
↓
とつぜんの、ちーふのはなし
「こんどできる、しんてんに いくことになったんだ」
↓
えがおでおいわいのことば、かけてるおれ。
なんでわらっていられるのかが じぶんでもふしぎ。
↓
ちーふはとてもやさしくて、ぱーとのひとにもにんきがある
それをひょうかされたんだろうな。きっと
↓
そのひととはたらけるのもあとすこし いままでいじょうに
がんばろうとけついをする ある あるばいとしょうねんのいちにちはこれから
□ 565-567 □
【あるもとりーまんのいちにち】
しょくをなくしていっしゅうかんがたった
むかしからのともだちにれんらくとるげんきもなく
しんぱいしてくれるもとどうりょうのでんわにでるきりょくもなく
きょうもぼんやりひるからびーる
ゆうゆうじてきでなみだがでるぜ
↓
いつものこんびににはいって
いつものてんいんのよこをとおりすぎて
いつものびーるをかおうとしたが
どれもぜんぜんひえてなくて
くそ ちゃんとひやしとけ ぼけが
と、こころでどくづくおれちょっとすさみぎみ
↓
とりあえずさんぼんとつまみをもってれじへむかう
ごろりとかんをおいたところで
ふいとひっこんでいたてんいんのにいちゃんがおくからでてきた
『あの、ひえてるんで こっち どうぞ』
てにはおれのとおんなじびーる
↓
うぉ おれかうものまでおぼえられている
それよりこのびーるどこからもってきたんですかおにいさん
『・・・うちのれいぞうこです』
なんですと
↓
『えーとここちちおやがやってて、にかいがじたくになってて』
ほう おにいさんはふらんちゃいずけのじゅにあでしたか
いやいやそれよりしぶつでしょう いいんですか
↓
『いえ、あの、これかってひやしてたのおれなんですけど
なんか、おきゃくさんが(おれをさしながら)さいきんいつもかってくから
うまいのかなっておもってこれにしたんで(たどたどしい)』
ちょっとうつむきながらぴっぴっとれじをうつにーちゃん
たぶんおれよりちょっとわかいくらい
↓
『なのでいいんです』
なので のあたりがよくわからない
1029えんです、といってふくろをこっちによこしたにーちゃんが
なんだかほんとにはずかしそうにしているので
おれはおもわずわらってしまった
そしたらにーちゃんもわらった
↓
ひきこもりのよっぱらいになっていっしゅうかん
ひととあうげんきなぞないわ なんておもってたけど
ひととあうからげんきはでるんだな、と、かえりみちでふとおもう
↓
こんびにではたらくにーちゃん
じょうれんきゃくの(もと)りーまん
おたがいかおをみるのはまいかいほんのすうふん
それでもおれたちはかかわっている
かんけいしている
とかなんとかごちゃごちゃかんがえていたら
じんるいとはとかよくわからないほうこうへはってん
うちゅうすげえあたりでいえについた
↓
れんらくとってなかったともだちにめーるして
へんじしてなかったもとどうりょうにでんわして(のーあんさーでごめんなさい、もいわなければ)
ちょっとげんきをわけてもらうことにしよう
そんであいつらがげんきないときにおれがわけてあげればいいんだとおもう
どうやればわけれるのかわからんけど
せっかくのひえたびーるだけどさんぼんともれいぞうこにしまった
↓
いんたーねっとでしゅうしょくじょうほうをみながら
はにかんでわらったにーちゃんのかおをおもいだしてこころがほっこり
あのにーちゃんもいまのおれみたくふっとおれのことおもいだして
びーるをてにとってみたのかな、とおもったりして
これからはけんこうにあみのいんりょうすいをまいにちかいにいこうかとかんがえる
あるもとりーまんのげつようのごご
□ 578-579 □
【あるこしょてん てんいんのごご】
たちよみの おきゃくがさって みせはがらがら
ひざしがまぶしいそとは いきかうひとも まばら
ひまだ
↓
じいちゃんのてつだいで みせばん
やすみの あいだだけだけの きかんげんてい
ひまつぶしにわきにおいた かだいをみるが やるきはでない
↓
ひきどがひかれる かるいおと
とたんにながれこむ ぬるいかぜとせみしぐれ
↓
いらっしゃいませ
はいってきたのは じょうれんのさらりーまん
たいてい おれがみせばんしている ごごにやってくる
↓
いつもよりややはやい ごらいてん えいぎょうなのかな
いちにちおきにきては かならずなんさつか おかいあげ
よむのはやいなあ どくしょかだね
↓
いつものように ぶんこのたなへ
ぺらぺらとかみをめくるおとが てんないにひびく
↓
そういえば よくくるわりに こえをきいたのはいちどだけだ
みせばんをひきうけるまえ ふらりとよったら
じいちゃんと ほんをうるついでに せけんばなし
ちょっとひくい いいこえでうっかりききほれた
またききたくて たのしみにしてたら おれのときは かるい えしゃくでさようなら
↓
いいけどさ がっかりなんて してないけどさ
ぼんやり そんなことをかんがえていたら めがあった
ぼーっとしていたのを みられていたのか めがわらってる
さしだされたほんを あわててうけとる
↓
ぶあついがくじゅつしょと ぶんこぼん
ぶんこは たいてい れんあいしょうせつ
いろいろとよむひとらしく いぜんは れきししょうせつをあつめていたとか
↓
いつものように なにごともなく おかいけい
↓
ありがとうございました
また どうぞ
ふるほんやは ほかにもあるけれど ここにかよいつめる さらりーまんのいとには
きづかない あるこしょてん てんいんのごご
ながいなつやすみも あとすこし
しゅうぎいんせんきょのよくじつ
しかくにやぶれたけど ひれいでとうせんしたぼくは
えきで ゆうけんしゃのみなさんに おれいのえんぜつをしていた
そこに つかれたかおをした かれがやってきた
↓
「やあ」
「やあ」
あくしゅをかわした
とうにそむいたため しかくをおくりこまれ むしょぞくでしゅつばしたかれ
ぼくとちがい しょうせんきょくでやぶれたら そこでおわりだったかれ
そのすがたは ひろうかんにみち しょうじきいうと みているのはつらかった
↓
「ほんとうにたいへんなせんきょだったよね」
あたりさわりのないことばをかけ すこしだけはなしをした
わらえるじょうたいじゃないのに えがおでせっしてくれるかれに
なんだか ぼくのほうがなきそうになった
↓
「じゃ もういくね またれんらくするよ」
そういってでんしゃにのろうとするかれに
「からだにだけはきをつけて」
そういうのがせいいっぱいだった
↓
よとうがぜんぎせきの2/3をとり
やとうのぼくのちからは ちっぽけなものかもしれない でも
くにのため いや きみのために このせいふをかえていこう
こんなめちゃくちゃなこと つぎにはさせない
そしてこんどは しかくなんていないせんきょでたたかおう
じもとのひとをだいじにする ぼくたちふたりで せいいっぱいきそおう
↓
やぶれたらいばるのせなかに きづかれないようそっとちかいをたてる
あるあるやとうぎいんのひるさがり
□ 737-739 □
【ある こうむいんの いちにち】
あさ かいぎがおわると ろうかでばったり
「おはようございます」 おはよう
ぴしっとしろいせーらーふくが
せのたかいかれに よくにあってる
おれは ちょくせつのじょうかんじゃないし
おおきな ふねだから こんなふうにあうのはちょっとめずらしい
きれいな けいれいぽーずをぼーっとみて
そのまま たちさろうとしたら なんでかにっこりわらわれた
↓
よる ざんぎょうてんこもり
ぱそこんばっかりみていたから めがしばしば
でも あしたはやすみだから もうちょっとがんばろう
↓
そろそろきりあげようとおもったころ のっくのおと
まだ だれかのこってたのかと びっくりしてへんじ
こえをきいて にど びっくり
せーらーくん まだ いたの
↓
すでに しふくにきがえていて かえりじたくしてる
なんできたの? ふしぎにおもう
↓
すると こえをちょっとひそめて
「まだ のこられますか」 いやそろそろかえるけど
へんじしたら なんかしんみょうなかお
ちょっとためらったあと また あさとおなじかおでにっこり
それをみたとたん ほほがかっとあつくなるかんじ なんで?
こんらんするおれをよそに
「よかったら めしいきませんか」だって
いがいなせりふに さらにこんらん
「いいな」
しらないうちに そくとうしてるじぶん
↓
せいふくぬいで きがえをする
どあのむこうには せのたかいまちびと
おおいそぎで にもつまとめる
へんだな なんか うれしいのか?おれ
↓
したくをおえて どあをあける
うわ なんかせーらーくんって よくみたら
いまふうの いけめんなんだな
ようふくだって かっこいい
それにくらべて くたびれたおれ
としだって そんなにかわんないのにな
みょうにはずかしくなってうつむくと
ちょっとふしぎそうに かおをのぞきこまれた
↓
せーらーくん いきつけのいざかやで かんぱい
さけもはいって へんにくちかずのおおいおれ
へんに はいてんしょん
そういえば てんきんしてきたばっかりで
しごといがいでだれかとしゃべるのって
ひさしぶりなんじゃないか
↓
せーらーくんが にこにこきいてくれてるのにきづいて
あわてて くちをつぐむ ああはずかしい
きっと つまんないやつだと おもわれた
↓
そんなことばっかりきにしてたのに ふと
せーらーくんをみたら やっぱりにこにこ
あれ?なんか きみうれしそうだね
わけがわからずにいたら
にっこりわらって
「まためしさそっていいですか」
だって
↓
どういうわけか このかおをされると こんらんする
ことばもなく うなずくだけ
そのこんらんのなまえをまだしらないあるこうむいんのいちにち
【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15