あるげーのうじん の いちにち 2

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464-468  ■  みっかよりながいにっき / …

□ 464-468 □
【あるふたりぐみりーどぼーかるのいちにち】

がらんとひろいへや おんきょうせつびだけはばんぜんだった
むかしのくせでやすあぱーとのちらしばかりみているおれに
こうがくのうぜいしゃらんきんぐのきじのきりぬきをつきつけて
「じぶんがいくらかせいでるかわかってるんですか」
そうどなりつけやがったあいつがもってきたこのまんしょんのやちんは
ほぼおれのげっしゅうだった
「すむところはむちゃするんですげいのうじんって あんたみたいなびんぼうしょうでも」
あいつはむちゃなりくつをとおして すうまいのけいやくしょにはんをおさせた

そんなけいいでてにいれたへやだったが あいちゃくはわいていたようだ
たしかにあさひるばんとぎたーをかきならしても ひとつもくじょうがこなかった
いいへやだった いまはかぐもなく だんぼーるのやまだけがおれをあっとうしているけど

すべてがなくなれば じぶんがいままで いかにぶそうおうなくうかんにいたのかわかった

にづくりはすんだ すべてひとりですませた
たおるでくびをしめながらひんやりとしたゆかにたおれこむと
てんじょうにこないとおもっていたあいつのかおがうかんだ とつぜんめにとびこんできた
「こねえとおもってた てかもうぜんぶおわっちゃったよ」
「こういうのはふつうぎょうしゃにたのむんです このびんぼうしょう」
「はなのげいのうかいのみなさんにこえかけたんだけどさ みんないそがしいんだもん」
「・・・・・・」
「じもとのれんちゅうよべばよかったな」

「あいつらぷーやってるから ひっこしそばとかなきながらくうよ」
べつにおれはさみしいわけじゃないのに なぜかめのまえにいるこいつがなきそうなかおをする
だいがくでもろじょうでもおれはずっとこいつのせんぱいだった
けいごだけはきようなのにこなまいきなたいどをあらためようとしないから
ずいぶんたくさんけんかもしてきた
でもさいしゅうてきになかされるのはいつもおれだったので
こいつの まるで おいめでもせおうような こんなかおはじめてみた

「あ くうか? そば」
「いりませんよ」
「ていうか あがれよ」
「…おれはいいです」
かたくなに うつむきながらくびをふってげんかんからあしをふみいれようとしない
かおをあげたかとおもえばとおいめをして なにもないくうかんを
まるでぶどうかんのすてーじからみたきゃくせきのように なきそうなかおでながめる

「あんたこれから どうするんですか」

ずっときいてほしかった はやくひとにしゃべりたかったことをきかれたので
おれはゆかからとびおきて てもとにおいてあったぎたーけーすをたたいた
「またえきまえだよ これかかえてあそこにかえるの」
「…あんたもうゆうめいなんだから めいわくになっておいだされますよ」
「そしたらまたべつのえきいけばいいんだよ ふーてんのなんとやらだ」

なっとくいかなさおうなかおをしている ばかだなあのころとなにがかわったっていうんだ?
「すむいえがなくなってもですか?」
「ひっこすだけだよ どんなやすあぱーとでもだいどころさえありゃ ふろもはいれる」
「せけんがつめたいめでみてもですか?」
「ろじょうでうたってたころだってそうだったじゃねえか」
「ぎたーがもしなくなってもですか」
「うだうだうるせえな あかぺらでうたえばいいだろが」
「じゃあ」

「じゃあおれがいなくても?」

ああそうか こいつはずっとそれがききたかったんだ

「おれがいなくてもあんたはうたえるんですか?」

そんなふあんそうなかおすんなよ
としうえらしいこといちどもしてやれなかったなぁ おまえにたよりきりだった
いままでだっておれのしらないところでふあんになっていたんだろう
こうやって ききたかったんだろう

「うたえるよ おまえがいなくても」

だからあんしんしろよ そういってほほえむとかれのめからなみだがこぼれおちた
ひとつぶひとつぶ おおきくなっていく
だけどもずっとわらっていた よかった よかったといいながら

「おれはあんたのうたがすきだったよ はじめてあったときから」

「あのえきまえで あんたにあったひから おれはずっと…」

あたりをみわたすともうあいつのすがたはなく ゆかをぬらしたなみださえあとがなかった
まぼろしだったのだろうかというおもいを さいごのこえが ことばがかきけした
しばらくきえてくれそうにない

「ああそっか こねえと おもってたのになぁ…」

そういいながらもうあせはとっくにひいていたけど たおるでかおをつよくこする
あるぱーとなーをなくしたおとこのいちにち

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