ある ???の いちにち 2

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263-264 534-539 594-595 762-763 769

□ 263-264 □
【ある○○のいちにち】

もうどれくらいここにいるかな・・・?
なんねんもなんかげつも そとにでてない

さいごにそとにでたのは ごしゅじんさまとのどらいぶ
うみぞいのみちをはしる ごしゅじんさまはたのしそう

また そとにいきたいな いきたいな

がらり
ぼくのとなりのどあがひらく

やってきたのは ごしゅじんさまによくにた でももっと
わかいおとこのひと しってる あのひとのむすこさん
ずいぶん おおきくなってる いっしょにでかけたの
おぼえてるかな?

「・・・こんなところに」
そういって ぼくにやさしくふれてくれた
ごしゅじんさまに こえもにてきたなぁ

ねぇ でかけようよ
まえに ごしゅじんさまとあなたとでかけた
あのうみぞいのみちへ

「・・・でかけようか こどものころにいった あのばしょへ」
うん でかけよう
ねぇ ごしゅじんさまも さそおうよ

「おやじみたいに うんてんうまくないけど のせてくれるか?」
だいじょうぶ そんなにすぴーどださないであげるよ

「おやじが・・・いなくなってずいぶんたつけど おまえはあのころの
 まま きれいなままだな」
いなくなる? おしごとででかけたの?

「いこうか」
うん いこう

くらいそうこを ぬけだして ぴかぴかのぼでぃーを
たいようにはんしゃさせて はしりだす
ひさしぶりのおでかけだけど えんじんもちょうしがいい

もちぬしがしんだことを まだしらない
かれが あたらしいしゅじんだと りかいしてない

あるくるまのいちにち

□ 534-539 □
【ある ろぼっとの いちにち】

まいあさおなじじかんに めをさます
ごしゅじんがめをさますまえに いえのおそうじ

ろうかにかいだん げんかんそうじ きっちんとりびんぐにそうじきをかけて
あさのおそいごしゅじんがまだねているから しんしつはあとまわし

いまはあさのはちじ よるはねるまではたらきどおし
これでもずいぶん めぐまれたせいかつ
ごしゅじんがいてしごとがある とりあえずは せいかつがほしょうされてるからね
ろうどうきじゅんほういはん? とんでもない
だってぼくは さいしんしきじんこうちのうとうさいあんどろいど ろぼっとなのだから

かがくがすすんで せかいはすこしかわった
にんげんとろぼっとが ともにくらすしゃかい

けれどもれはうわべだけ
じっさいには にんげんがろぼっとをつかうしゃかい
ろぼっとなんてしょせん にんげんのべんりや
じんかく もとい ろぼっとかくなんて あったもんじゃないさ

おまけにというかなんというか こまったことに ぼくはそのうえ ふりょうひん
ろぼっとなのに なにひとつかんぺきにこなせない
そうじをすればほこりはのこるし ごはんをつくればびみょうなあじつけ

そんなんだから ぼくのじんせい はらんばんじょう
さいしょのごしゅじんにすてられてからは まさにてんらくじんせい
いちどは あやうくすくらっぷにされるところだった

まったく ろぼっともらくじゃない
ひとつきまえ いまのごしゅじんがまえのごしゅじんから ぼくをひきとってくれなければ
ぼくはいまごろ ばらばらしたい じゃなくて ばらばらのぱーつ

えーえむくじはん ようやくごしゅじんがりびんぐのどあをあけた
ごしゅじん おそようございます
しょくじのじゅんび とっくにできてますよ

ぼくのごしゅじんは いつもねぼすけ
そのくせ まだねたりない といわんばかりのおおあくび
ねぐせのついたくろいかみがあちこちとびはねて いいおとなのくせにちょっとこどもっぽい

「ごしゅじん あたま すごいですよ」 「うっさい」
あ ふくれた やっぱりこのひと こどもっぽい

ちょうしょくはいつもどおり ごはんとみそしるとたくあん
そしてなぜだかぶらっくこーひー

あの ごしゅじん そこはにほんちゃじゃないんですか?
ぼくのぷろぐらむのなかには わしょくにこーひーなんてめにゅー ありませんよ
そんなぼくのぎもんはきれいにむしされて いまではぼくもそれがあたりまえ

ごしゅじんがもくもくと ちょうしょくをかきこんでいるあいだ ぼくはてもちぶさた
そうじおわった ごはんたべない いこーる とくにすることない
「やることないんならさ にわのせいび しといてくんない?」
ぼーっとしてたぼくをみかねたのか ごしゅじんはぼそっといった

ごしゅじんのいえは いなかのいっけんや にわはばかみたいにひろい
それをおていれするのも ぼくのやくめ
ごしゅじんはどうやら しようろぼっとががーでにんぐをしているのをみるのがおきにいりらしい
まったく いいしゅみなもんだ

さっきちょうしょくたべたばかりの しょうごすぎのひるごはん
かれーらいすにぽてとさらだ よくたべられますねぇ
あさとおなじ することがなくて ぼくはぼーっとごしゅじんのかおをみる
「そういやおまえ きょう かいだしにいくって いってなかったっけ?」



「おまえな それでほんとにろぼっとなのかよ」
ろぼっと というたんごだけ こころもちこえをおとして ごしゅじんはいった
おおあわてでらんちのあとかたづけをすませて
ふたり せいかくには ひとりといったい ならんでまちまでおかいもの

さすがにみちのどまんなかでは そういうせりふはいいづらい
だって はたからみれば ぼくはりっぱなにんげんのわかもの
なんてったって さいしんしきのあんどろいどだからね ふふん

はぁ…

おちゃらけてみてもだめ
みみにつきささるな ききなれたことばなのに
『それでほんとにろぼっとか』

ついにいまのごしゅじんにも いわれてしまいました
せらみっくすのめから ありもしないなみだがこぼれる さっかく
すてられるのも じかんのもんだい?
そしたらこんどこそ ばらばらぱーつの すぷらった じゃない すくらっぷ
ぼくはすこしめをふせて あさってのほうをむいた

「ま それがおまえのいいとこだけどな」

ぼくはみみをうたがった
ごしゅじん いま なんていいました?

さんかい
たったいちねんの ろぼっとじんせいで さんどぼくはすてられた
さんにんのひとがぼくをいらないといった
なのにあなたは

しょくひんと これからのきせつのふくと にちようざっかをたくさん
おにのようにかいこんで ぼくたちはいえにかえる
にもつはもちろん ぼくがぜんぶはこびました

ひさしぶりにまちにでてつかれたのか ごしゅじんはかえるなり しんしつにこもってしまった
あの そういえばぼく しんしつのそうじもわすれてました てへ

ゆうしょくのしたくをしながら ぼくはひるまのごしゅじんのことばを おもいだす
『それがおまえのいいところだ』
ぼくのいいところかぁ うふふ なんかうれしいな

ふとそれをまえのごしゅじんたちにいってもらうところをそうぞうして
そして おもったほど かんがいがわかないことに すこしおどろいた

はじめてほめてもらったことが うれしいんじゃない
ごしゅじんに あのひとにほめてもらったことが うれしいの?

うれしい?

まさか
そんなはず ない

どんなにこうせいのうだって しょせんきかいはきかい
ひょうじょうをもつことはできても にんげんみたいにかんどうしたりはできない
しこうかいろをもつことはできても にんげんみたいなかんじょうをもつことはできない

うれしい そんなはず ない

これは かんじょうなんかじゃない
ずのうぷろぐらむのばぐ だってぼくは ふりょうひん

ぜったいにそうなんだ
だって そうじゃなくちゃ こまる

しこうかいろぐっちゃぐちゃで ゆうしょくのぐざいまでぐっちゃぐちゃにして
ごしゅじんにこっぴどくしかられた
たしかなきもちを こいにもできない あるろぼっとのいちにち

□ 594-595 □
【あるまちこがれせめのいちにち】

「きみをまってた」
まちこがれせめ とおくをみながらそういった

まちこがれせめ まだまだはなす
「ながいあいだまってた きみを
 もうなんねんたつんだろう まってたずっと」

「あめがふるひも あらしのひも
 ひでりのひも ゆきふるひもきみをまってた」
まちこがれせめ のんびりうけをおもってみをふるわせる

きょうはいつもより すこしあつい
まちこがれせめ のんびりうけしんぱい

「はじめまして のんびりうけ」

そのことばをきいてのんびりうけもたからかにへんじをした

みーん

のんびりうけ しろいからだはちゃいろにしっかりいろづいて
げんきそうにへんじ
まちこがれせめ うれしくなる

みーん じじ みーん

「そしてさよなら のんびりうけ」

みーんみーん

きみのこえ ききたかった まってたと
まちこがれせめ つぶやく

「ねぇ しぬとき よかったらでいい ぼくの ぼくの」

みーん

のんびりうけ まちこがれせめがぜんぶいうまえにへんじ
そんなこといわれなくても のんびりうけはわかってた

おおきなきからせみがなごりおしげにとびたつ
きおん さんじゅうごど
かぜは ほとんどないのにみどりのはをゆらす
あるまちぼうけのいちにち

□ 762-763 □
【ある かていよう あんどろいどの いちにち】

かていよう あんどろいどは きょうも はたらく
あさも はやくから いえのなかを そうじして
しりょうを せいりして あたたかい すーぷを こしらえる

ごしゅじんが おきてくるころには ばんたん ととのっている
おはようございます ごしゅじん きょうは えんどうまめの すーぷですよ

とくに りょうりには じしんが あるのだけれど
ごしゅじんは すなをかむような かおしか してくれない
それどころか まいあさ あんどろいどを みるたび かなしそうにうつむく

あんどろいどは こころが ないので ごしゅじんが ないていても どうしてだか わからない
じぶんを みるたびに なく ごしゅじんが わからない
ろくに ごはんを たべてくれず ないてばかりで やせていく ごしゅじん

こまって あんどろいどは はなしかける

ごしゅじん ごしゅじん なにが そんなに かなしいのですか
すーぷが からかったですか にくを やきすぎましたか

…ねえ どうしたら おいしい かおを してくれますか?
(どうしたら しあわせな かおに なりますか?)


うずくまって うごかない ごしゅじんの かすれた こえ
「おなじかおを した あんどろいどなんて いらなかったんだ」

つくりぬしと おなじ かたちの あんどろいどの かおを さわる
ふるえる ごしゅじんの ゆび

「おなじかおを していたって おまえは あいつじゃないのに
こんな ざんこくなことをして さっさと いなくなるなんて」

だって なおらない びょうき だったんですよ
いってはいけない そのことばが あんどろいどの くちのあたりを さまよう
だから ぼくを あなたのそばに ささえに なるようにって

でも おなじかおした ぼくは あなたを きずつけることしか できなくって

きゅうに なにかが ささるような いたみを おぼえて
あんどろいどは ふしぎそうに からっぽの むねをおさえた
すきゃんしても なにもない せいじょうに うごいている たいそしき

だけどたしかに ずきんと いたんだ その わけを
まだ しるよしもない あんどろいどの せつない しんかの まくあけ

□ 769 □
[とある きせつものの いちにち]

あぁーいちねんぶりぃ またあえたね

ほんとだよねぇ おたがい ねんきはいってきたから
ことしは むりかなぁって ちょっとおもったりしてさ

まぁ いまはやりのきょくでいうと “ふたりでひとつ”って やつだからじゃないの

おっ おしいれのなかのくせに じごくみみだねぇ
そうだね でも おまえのほうが ゆうずうききそうやんけ

なんで かんさいべんやねんいきなり  ほら ちょっと うでのけて はいりづらいねん

おまえも のってるなぁ ほら このあたりでいい?

おぉぉ いかしてんね ないす ばらんす♪


 そんな いちねんぶりにさいかいして
てんしょんがちょっとおかしい つりーとつりーらいとのいちにち

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【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15