あるせいと の いちにち 3

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□ 6-7 □

あとひとつきもしたら ばれんたいんでー
ぼくのしんゆうのせめくんは いつもふくろいっぱいにちょこをもらっている
ぼくはたいてい せめくんへのでんごんとせめくんへのちょこをわたされる

あまいものだいすきなせめくんは
そのひ いちにちうれしそうなかおでちょこをうけとる

ほんきのこにはやんわりと
ぎりのこにははっきりと
おつきあいはできませんとこたえているのに
もらえるりょうがへらないっていうのは
せめくんのじんぼうのあつさもあるんだろう

ぼんやりとみつめていたら
せめくんがぼくのほうをみてわらってくれた
そのえがおに むねがどきどきする

「どうした うけ
さてはおれのかおにみとれてたな?もてるおとこはつらいねぇ」

ち、ちがうよ!まいとしちょこがもらえてうらやましいとおもってたんだ
あわててひていしたけど かおがあつくなるのがわかる
なんで せめくんにみられただけでどきどきするんだろう

「あー もうすぐそんなきせつだな
そうだ ことしはおれからやるよ
そしたらおまえも ちょこもらえるだろう?」

え?それはせめくんがぼくに
ばれんたいんのちょこれーとをくれるってこと?

「そうだよ いつもぎりしかもらえないおまえに
しんゆうからのあいじょうこもったほんめいちょこだ」

うれしいだろ?ととうせめくんのかおをみつめながら
まだじぶんのきもちにきづかない
あるこうこうせいうけのいちにち

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【ある しょうねんの しぎょうしきのいちにち】

「あー しんがっき はじまっちゃったよ ほとんどやすんでねーっつの」

しぎょうしきのひ きょうしつで きみはしんそこ かったるそう

そうかな ぼくには このふゆやすみ ながすぎるほどに かんじたけれど

「けど まあ こうして おまえとまた あえるんだから がっこうも わるくないか」

とたん しんぞうがふるえた おもわずきみを じっとみる

「なーんて な おいおまえ どんだけ め みひらいてんだよ」

そうだよ じょうだんに きまってるじゃないか なに おどろいてるんだ ぼくは

「……おこった?あー へんなこといって ごめんな」

あやまるきみの こまったかおに またしんぞうが ふるえるから
ぼくはただ ぶんぶんと くびをふるしか できなかった

じぶんのきもちを つたえるすべのない もどかしさより あいたかったひとに やっとあえた うれしさのほうが ずっとずっとおおきい ある しょうねんの しぎょうしきのいちにち

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【ある あまとうしょうねんの いちにち】

おれ すじがねいりの あまとう
けーきばいきんぐ だいすきだし
せきはんには さとうをかける

そんなおれが いちねんでいちばん たのしみにしてるひが やってきた
ばれんたいんでー である

おれは いわゆるにまいめとかでは だんじてないけど
ふだんから あまとうあぴーるしてるから じょしから ぎりちょこたくさんもらった
しあわせ

ほうかご ふくろいっぱいのせんりひん かたてに こうもんをでると ひとかげが
「あれ いいんちょうじゃん どしたの?」
おれがこえをかけると しゅうさいくらすめいとは ちょっとこわいかお
え なに ちょこもらえなくて ぶるーだったり するのかな

すこしきまずくなって おれがだまっていると ふいにいいんちょうが ずいっとこちらに なにかさしだした
「やる おまえ ちょことか すきだろ」
みれば とうめいのらっぴんぐからのぞくのは みるからにおいしそうな ちょこれーと

「おれにくれるの?」
いいんちょう だまってうなずく
「もしかして てづくり?」
いいんちょう うなずく ゆうひのせいで かおがまっか
「すげーな むちゃくちゃうまそう まじさんきゅー」
いいんちょう ひとこと
「べつに」
それだけいって あしばやにかえっていった

いいんちょうがどんなおもいで ちょこをつくったか とか かおのあかさは ほんとにゆうひのせいだったのか とか
そんなことをかんがえることもなく とりあえず ちょこれーとのあまさにとろけてみる
ある あまとうしょうねんの ゆうぐれどき

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