あとひとつきもしたら ばれんたいんでー
ぼくのしんゆうのせめくんは いつもふくろいっぱいにちょこをもらっている
ぼくはたいてい せめくんへのでんごんとせめくんへのちょこをわたされる
↓
あまいものだいすきなせめくんは
そのひ いちにちうれしそうなかおでちょこをうけとる
↓
ほんきのこにはやんわりと
ぎりのこにははっきりと
おつきあいはできませんとこたえているのに
もらえるりょうがへらないっていうのは
せめくんのじんぼうのあつさもあるんだろう
↓
ぼんやりとみつめていたら
せめくんがぼくのほうをみてわらってくれた
そのえがおに むねがどきどきする
「どうした うけ
さてはおれのかおにみとれてたな?もてるおとこはつらいねぇ」
↓
ち、ちがうよ!まいとしちょこがもらえてうらやましいとおもってたんだ
あわててひていしたけど かおがあつくなるのがわかる
なんで せめくんにみられただけでどきどきするんだろう
↓
「あー もうすぐそんなきせつだな
そうだ ことしはおれからやるよ
そしたらおまえも ちょこもらえるだろう?」
↓
え?それはせめくんがぼくに
ばれんたいんのちょこれーとをくれるってこと?
↓
「そうだよ いつもぎりしかもらえないおまえに
しんゆうからのあいじょうこもったほんめいちょこだ」
↓
うれしいだろ?ととうせめくんのかおをみつめながら
まだじぶんのきもちにきづかない
あるこうこうせいうけのいちにち
□ 10 □
【ある しょうねんの しぎょうしきのいちにち】
「あー しんがっき はじまっちゃったよ ほとんどやすんでねーっつの」
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しぎょうしきのひ きょうしつで きみはしんそこ かったるそう
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そうかな ぼくには このふゆやすみ ながすぎるほどに かんじたけれど
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「けど まあ こうして おまえとまた あえるんだから がっこうも わるくないか」
↓
とたん しんぞうがふるえた おもわずきみを じっとみる
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「なーんて な おいおまえ どんだけ め みひらいてんだよ」
↓
そうだよ じょうだんに きまってるじゃないか なに おどろいてるんだ ぼくは
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「……おこった?あー へんなこといって ごめんな」
↓
あやまるきみの こまったかおに またしんぞうが ふるえるから
ぼくはただ ぶんぶんと くびをふるしか できなかった
↓
じぶんのきもちを つたえるすべのない もどかしさより あいたかったひとに やっとあえた うれしさのほうが ずっとずっとおおきい ある しょうねんの しぎょうしきのいちにち
□ 65-66 □
【ある あまとうしょうねんの いちにち】
おれ すじがねいりの あまとう
けーきばいきんぐ だいすきだし
せきはんには さとうをかける
↓
そんなおれが いちねんでいちばん たのしみにしてるひが やってきた
ばれんたいんでー である
↓
おれは いわゆるにまいめとかでは だんじてないけど
ふだんから あまとうあぴーるしてるから じょしから ぎりちょこたくさんもらった
しあわせ
↓
ほうかご ふくろいっぱいのせんりひん かたてに こうもんをでると ひとかげが
「あれ いいんちょうじゃん どしたの?」
おれがこえをかけると しゅうさいくらすめいとは ちょっとこわいかお
え なに ちょこもらえなくて ぶるーだったり するのかな
↓
すこしきまずくなって おれがだまっていると ふいにいいんちょうが ずいっとこちらに なにかさしだした
「やる おまえ ちょことか すきだろ」
みれば とうめいのらっぴんぐからのぞくのは みるからにおいしそうな ちょこれーと
↓
「おれにくれるの?」
いいんちょう だまってうなずく
「もしかして てづくり?」
いいんちょう うなずく ゆうひのせいで かおがまっか
「すげーな むちゃくちゃうまそう まじさんきゅー」
いいんちょう ひとこと
「べつに」
それだけいって あしばやにかえっていった
↓
いいんちょうがどんなおもいで ちょこをつくったか とか かおのあかさは ほんとにゆうひのせいだったのか とか
そんなことをかんがえることもなく とりあえず ちょこれーとのあまさにとろけてみる
ある あまとうしょうねんの ゆうぐれどき
【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15