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□ 1.5 / 76-77 □
【すなおじゃない じなんの いちにち】

いまどき はやらない だいかぞくの うち
きょうだい だんじょ あわせて ぜんぶで じゅうにんちかく
これだけ おおいと いえのなかは しっちゃかめっちゃか

なくなわめくな あばれるな はしるなとぶな けんかすんな
きょうも ちょうなんの あにきが みんなの せわをやいている

あにきだけじゃ てはまわらないから しかたなく てつだう
ほら もう ゆうめしだから いいかげんにしろ
ちっちゃい おとうとたちの くびねっこ つかんで れんこう
あまい あにきとちがって おれは じつりょくこうし

こえを そろえて いただきます(いただきます)
うちの しょくじの せきは ちょっとそうかん ずらっとならんだ きょうだいたち
くいっぱぐれないように みんな むごんで そうだつせん
いちばん ちっこい すえっこをかかえて あにきは またせわをやいている
くろうしょうで せわやきで おひとよしの あにき

りょうしんが あいついで なくなって もう なんねん たつのか
かいしゃへ いきながら こいつらの めんどう みるなんて
むりだって なんどいっても きかなかった あにき
ぶきようなくせに すいじ せんたく ぜんぶ ひきうけようなんて
みとおしが あますぎるにも ほどがあるのに
ちょうなんだから おれが みんなを やしなわないとな なんて
そんなことより よめを もらえよ といいたくても
こんな だいかぞくの ちょうなんには なかなか よめの きてがないのも
わかってるから さすがに いえない
おれたちの そんざいが あにきのしあわせを じゃましてる

だけど まだみぬ あによめには わるいけど
あにきが ひつようなんだ どうしても おれたちには
あにきが いなけりゃ よるも あけない

だから わびの かわりに きようなおれが かじをする
だいがくいんは ひるまだけだし もともと りょうりはとくい せんたくそうじもおてのもの
かいしゃで つかれた あにきに あつい おちゃも だしてやる
おつかれ あにき

あにきが わらう

わるいなあ おまえが いて たすかるよ

くろうしょうで かいしょうなし おひとよしで それから それから?
にくまれぐちは いくらでも きけるけれど だいじな ことばが うまくいえない
すなおじゃない だいかぞくの じなんの いちにち

□ 1.5 / 81-82 □
【あるだいかぞくの さんなんのいちにち】

とうさん かあさん こんなにこどもいるのに またつくったのか
やきゅうちーむでもつくるつもりかよと きいたら
こどもはたから たくさんいたほうがいいにきまってると わらってたよな
そのたからをおいて しんじまってどうするんだ
おかげで いちばんめのあにきと にばんめのあにきは
まいにち めがまわるほどおおいそがしだ

いちばんのあにきは まいにちあさからしごとにいって
よなかになって くたくたになって かえってくる
おかねのことはしんぱいするな とうさんかあさんものこしてくれた
おまえたちをくわせて がっこういかせるぐらい わけないさ
そういってるけど おれしってる
あにきひとりで たべざかりのきょうだい くわせていくには
しごとがひとつじゃたりなくて べつにばいともこなしてること

にばんめのあにきは そうじ せんたく めしのしたく
だいがくいんにいきながら まいにちいつもふるかいてん
でもほんとうは もっとたくさんべんきょうしたくて
うえのあにきをまちながらほんをひらくけど かじでつかれてのっくあうと
あ また ほんをひらいたままでねてる

おれはぶきようで かじのてつだいもあんまりできないし
ばいとをしても じきゅうななひゃくごじゅうえんのこうこうせい
がっこうがえりのすうじかんじゃ かけいのたしにはぜんぜんたりない
したのいもうと おとうとのめんどうはみてやれるけど
やっぱり あにきたちにはかなわない

あ こら すえっこ
せっかく したのあにき ねてるんだから そのうえをはしるな ふむな
……ああ よかった おきなかった
きっと ふまれてもきづかないほど つかれてるんだろうな
そのくせ いつもうえのあにきがかえってくると
ちゃんとおきて ゆうしょくくわせて おちゃまでだして

こうこうをでたら おれもはたらこう
そうしたら うえのあにきもすこしはらくになるだろう
よなかのばいと しなくてもよくなるかもな
ばんごはんは みんないっしょにたべられるだろうし
うえのあにきをまって したのあにきがよふかしすることもなくなる
ゆっくりべんきょうするじかんも すこしはふやせるだろう

でも ふえたじかんのすこしだけさいて
おれにもあついおちゃ いれてくれたらいいな
すえっこをあやしながら にばんめのあにのねがおをそっとのぞく
だいかぞくのさんなんぼうのねがい

□ 1.5 / 83 □
【ある だいかぞくの ちょうなんの いちにち】

ひるは かいしゃ よるは こっそりばいと まいにちまいにち いそがしい
くたくたに なって つかれてかえってくると まだ こうこうと でんきが
なんだなんだ まだ みんなおきてるのか そのわりには ものおと しない
しんぱいになって くつ ほうりだして いまにむかう

いまには つくえに もたれて ねむりこんでいる じなん
そのよこで すえっこ かかえて おなじく うたたね さんなん
そのひざで すやすや すえっこ

つくえのうえには じなんの べんきょうどうぐや ほん
すっかり さめた おちゃや ゆうはん 
かえりを まつ きょうだいたちの あたたかい けはい
つかれも わすれて えみが こぼれる
だいかぞくのかていは まいにち せんそうだけど こういうとき よくわかる
かぞくの ぬくもりと かくれた やさしさ おもいやり

かぜを ひくから おきなさい すえっこと さんなんをおこし
つっぷしている じなんも そっとゆする
ただいま おそくなって わるいな
めをあける じなん すこし とろんとしためで またたく
おかえり あにき いけない ねちまった

きょうは もう ねてしまいなさい そういうと
すなおに じなんは うなずく なつかしい おさない しぐさ
すえっこ だいた さんなんと ならんで へやへ むかう

そうだ ひさしぶりに いっしょに ねるか などと いいだして
それはちょっと とさんなんに こばまれ
このとしになって なにいってんだと あかくなったじなんに こづかれ ややきずついたりする
いそがしくとも しあわせな ある だいかぞくの ちょうなんの いちにち

□ 1.5 / 88 □
【ある だいかぞくの すえっこの いちにち】

おおにいの かえりは きょうもおそい
ばんごはんをたべて おふろもはいって おれがふとんにはいったあとじゃないと かえってこない
こないだ ほいくえんでかいた ぱんだのえ みせてやるって やくそくしたのに
しかたないから ちいにいで がまんしてやる
ちいにい あそべ! っていったら さんにいに つかまえられた
さんにいの たいがためは なかなかのものだ
へっどろっくを はずそうとしているうちに おれはねてしまった ふかく

れいちゃんのままは おとうさんも おかあさんも いなくて
かわいそうねって いうけど なんでかわいそうなのかな
おれには おおにいも ちいにいも
さんにいだって よんにいだって (いかりゃく) いるのに

でも おおにいと たまにしか あそべないのは かわいそうかもしれない
つぎの にちようびは ほんもののぱんだ みに どうぶつえんにつれてってもらうんだ
ちいにいは おべんとうも つくって くれるかな
みんなで でんしゃにのって いくんだよ
そんな ゆめをみている ある だいかぞくの すえっこの いちにち

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