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【あるはちうえのいちにち】

このおふぃすにきていっしゅうかん

わかったことは ここがあたらしいぶしょだということ
ぼくはどうやら かちょうのしりあいに
おいわいのしなとしておくられたらしいこと
それと

「さっきのほうこくしょはんこわすれてます」
いつものようにかかりちょうがやってくる
たよりないかちょうはいつもどこかぬけているらしいこと

うつむいてはんこをおす かちょうのくびすじを
みおろすめがねのおくのめが
ふと せつなげにほそめられること

「かかりちょうがしっかりものだから たすかるよ」
そういってわらうかちょうのえがおは つみがなさすぎてつみぶかいこと

たちさりかけたかかりちょうが
ぼくのめのまえで いつもかならずいちどふりかえって
なにかいおうとしてやめること

たちあがったばかりの まあたらしいおふぃすで
ろくにみずやりもしてもらえないぼくがかれてしまうまでに
あのひとのきもちがつたわればいいなあとおもう
あるはちうえのひるさがり

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【あるはちうえのいちにち】

とっくにていじをすぎたよるおそく
ようりょうのわるいかちょうはこんやもさーびすざんぎょう

「かちょう まだいたんですか」
ぶっきらぼうなかかりちょうのことばに
「きみこそこんなじかんまで めずらしいね」
なにげないくちょうでいいかえす

ぼくのまえで いつものようになにかいおうとして
やっぱりやめて ぱーてーしょんのむこうにきえかけたかかりちょうに
「あ、ちょっと」
はじめて かちょうがじぶんからこえをかけた

「なんですか」
みょうなきんちょうかんは かかりちょうのほうだけじゃない
あれ これって このくうきってもしかして

「ごめん、なんでもない おつかれさま」
でもすぐにかちょうは またあのつみのないえがおをうかべた

だれもいなくなった まあたらしいおふぃすで
ふと かちょうがぼくのほうをみた
「ごめんね じぶんのことにいっぱいいっぱいで きみのことわすれてた」
そういってのみのこしのてんねんすいをぼくにくれながら
ぽつりとさみしそうにつぶやく
「こんなたよりないじょうしは かれはきっときらいだろうね」

ぼくがもし ことばをはなせたら
この たよりなくてどんかんでかわいいひとに ひとこといってやるのに
もどかしいきもちで てんねんすいをあじわう
あるはちうえのよふけ

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【あるはちうえのいちにち】

さいきんからだがだるい
かちょうがまいにちみずをくれるけどのどがかわいてくるしい
けさもかちょうはぼくにみずをくれながらかなしそうにためいきをついた

「かちょう おはようございます」
いつものようにかかりちょうがぶっきらぼうなあいさつ
ようすのおかしいかちょうにすぐきづいてどうしたんですかとそばにきた

「どうしよう これかれちゃいそうなんだ ちゃんとまいにちみずあげてるのに」
かちょうがなきそうなこえでいった
ああそうか ぼく かれそうなんだ

「このへやれいぼうきついから なにかびょうきかもしれないですね」
かかりちょうのことばにかちょうがおちこむ ぼくもおちこむ

おちこむかちょうのかたを かかりちょうがぽんとたたいた
「よるまであいてるはなやさんあったでしょう 
かえりにもっていきましょう つきあいますから」

ありがとうとほほえむかちょうのえがおがかわいくて
こんなぼくでもちょっとはやくにたったのかなとうれしくなった
 するとかかりちょうが おもいこえでぽつりといった

「あのひとにもらったはちうえ からしちゃだめですよ」

 ぼくは たくはいでとどけられたから『あのひと』がだれかしらない
 でもこまったようにかおをふせたかちょうのようすになにかをかんじた
 あともうどれくらいここにいられるか わからないけれど
 ふたりのために もっとなにかしたい とけついする
 あるはちうえのあさ

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