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【あるこわもてさらりーまんせめのいちにち】
おれはこわもて けっこう まわりにごかいされやすい
こわいひととか いつもおこってるみたいとか
↓
でもこうはいの さらりーまんうけだけは おれをりかいしてくれる
「せんぱい ほんとはやさしいっすよ」
そうかばってくれたりしてるの おれは しってる
こうはいうけだけ りかいしててくれりゃいいさ
↓
そんなあるひ こうはいうけが おれにもじもじしていった
「せんぱい きょう あいてますか よかったらめしでもどうですか」
ふたつへんじで いっしょにいざかやへいく
↓
こうはいうけ なんだかきょろきょろ
あとからかわいいおんなのこ いそいできたのか
ちょっとかおがあかい
↓
「せんぱい おれ こんど けっこんするんです」
てれくさそうに しょうかいする こうはいうけ
あかるくてかんじのいいおんなのこ
やっぱりてれくさそうに ぴょこんとあたまをさげた
↓
「いつも おはなし うかがってます
やさしいせんぱいが いるから しごとしててたのしいって」
いうなよーとかいって こうはいうけ おんなのこをつつく
↓
しあわせそうなふたり おれはわらって かんぱいして
おめでとうって なんどもくりかえした
↓
ふたりとわかれて かえりみち
うれしくて かなしいことばを おもいだす
『せんぱいに いちばんに しょうかいしたかったんです』
なんだかなけてきて うつむきかげん
↓
おれみたいなこわもてが めそめそしてちゃおかしいと
こぶしでぐいっと めもとぬぐって よぞらをみあげた
しつれんさらりーまんのいちにち
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【ある ねこかぶり えりーとりーまんの いちにち】
このごろ ざんぎょうつづきで かなり ねぶそく
↓
でも かおには ださない
「おはよう!」
さわやかさにおんなのこ きゃーきゃー
さすがだな おれ
↓
どうりょう じょうし こうはい
やっぱりだれも きづかない
かんぺきな おれ
↓
え?いそぎのしごと?いいよ、だいじょうぶだよ
れいなんていいって ほんとにいいよ
↓
だれにも きづかれないから きょうも しごと たくさん
・・・だれか ひとりくらいきづけよ このやろう
↓
しかたないから きょうも ざんぎょう
↓
いつもは ひとりだけど きょうは こわもてりーまんもいる
やだな こいつ にがてなんだよね
↓
ふたりで だまって もくもく もくもく ざんぎょう
とつぜん よこから しょるい とりあげられた
↓
なにしてんだよ このやろう・・・と いいたいの おさえて
さわやかすまいるで どうしたのと きいてやる
↓
こわもてりーまん いつもの こわいかお「・・・そっちはわからんが こっちなら わかる」
↓
おれの しごと わかるとか わかんないとかかんけいないだろ
おまえ おわったなら さっさと かえればいーだろ
じゃますんなっての・・・といいかけたら こわもてりーまん ですくにもどって おれのしごと はじめた
↓
あ てつだってくれるつもり だったんだ
そのいいかたじゃ わかんねーよ ばかだな
つい すの くちょうで ぼやいたら こわもてのまんまで こっちむいた
↓
「おまえ ぐあい わるいんだろ そっちおわったら かえれ」
えええ なんで こいつ きがついてんの
↓
「おまえ ええかっこうしいだから てつだったの だまっといてやるよ」
↓
なに なんなの なんで おれのこと わかっちゃってるふうなの
おまえ けっこう やさしーじゃん つーか かわいいじゃん
↓
ほめたのに こわもて かおまっか「・・・・・・ばかか」
↓
やべー まじでかわいい わらったりしたら もっと かわいいんじゃねーの
みてーなー ちょうみてー
↓
ひさしぶりに こころから わらいつつ いろいろたくらむ ある ねこかぶり えりーとりーまんの いちにち
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【あるこわもてさらりーまんせめのいちにち】
さいきんますます こわもてになったと ひょうばんのおれ
でもあいかわらず こうはいは あかるくて
まえよりも さらになついてくる
↓
こうはいのやつが けっこんして かまえたしんきょは
おれのあぱーとから あるいてごふん うれしいやら かなしいやら
↓
「せんぱい ちょっと よってってもいいすか」
しゅうになんどか そういって おれんちに あがりこんでくる
きょうも じぶんちみたいなかおして ごきげんで びーるのんでるし
おくさん またせて かわいそうだろ
でもいっしょにいれて うれしい
↓
「おまえなあ おくさん まちくたびれてるぞ はやくかえってやれ」
うれしさをかくして こわもてを
ますますきょうあくにして せっきょう
こうはいには おれのこわもても いまいちききめがない
びーるであかくなったかお ほころばせてわらってやがる
↓
「だって せんぱいんち おちつくんすよ」
「しんきょは おちつかないのか」
「うーん ちょっとだけ おくさんにはわるいけど
まだ じぶんちって じっかんもてなくて」
↓
なんだか ひどくむねが いたくなった
じぶんが よろこんでいるのか おこっているのか よくわからない
「わるいとおもうなら さっさとかえれ
めしつくって まってるものの みにもなれ」
どうようしたまんま おもいきり どなった
いっしゅん めをまんまるくして おどろいてたこうはい
すぐにこまったように ほほえんで やわらかなかみ ぐしゃっとかきあげた
「ほんと せんぱいは やさしいな おれなんかより ずっとやさしい」
うつむきかげんで こうはいはつぶやいた
↓
「おじゃましました かえります」
すっくとたちあがったこうはい おれもつられてたちあがる
くつをはく こうはいのせなかに おれは おろおろとこえかけた
「どなってわるかった また あそびによれよ
おくさんを しんぱいさせない ていどに」
いつものえがおでふりかえり かるくえしゃくして こうはいはどあをしめた
↓
ばかだ おれは かえってほしくなんかないくせに
おくさんよりも おれのそばに ずっとずっと いてほしいくせに
せんぱいぶって やさしいおとこきどって えらそうにせっきょうかよ
↓
かいだんをおりる こうはいのくつおとが ひびく
かえるな かえるな ここにいろ ずっといっしょにいてくれ
いいたいけど いっちゃいけない ことばばかり
のどのおくから あふれだしそうで おれははをくいしばる
↓
おもいあしどりで いまにもどり ぺったりゆかにへたりこみ
こうはいが のみのこしたびーる いっきにあおる
からっぽになったかん ぎゅっとにぎりつぶして
せぐりあげるおえつ こらえようとして
じぶんのこぶしをかみ いきおいあまって りゅうけつした
あるばかなさらりーまんのいちにち
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【あるこわもてさらりーまんせめのいちにち】
しゅっきんするなり おーえるたちに
みぎてのほうたい みとがめられた
どうやらかのじょたち おれがどこぞで
けんかでもしたと おもっているらしい
こっちをちらちらみながら はむすたーみたいに
すみっこにかたまって なにやらひそひそ
くそう かってにはなしつくるな
↓
こうはいが ちょっとばかり てれくさそうに
ひょこっと あたまをさげて ちかづいてきた
「きのうは すみませんでした」
いいよ きにすんなよって ぽけっとにつっこんでたみぎて
ひらっとふったら こうはいにも きづかれた
「あれー どうしたんすか そのほうたい」
こうはい しんぱいそうに おれのかおとみぎて みくらべてる
「なんでもない めしつくろうとして ちょっとてもと くるっただけだ」
↓
「へえ こわもてさん じぶんでしょくじ つくるんですね」
いきなり えりーとさらりーまん おれとこうはいのあいだに
まんめんのえみで さっそうと わってはいってきた
じゃますんなとおもったが こうはいはえりーとに えがおでうなずいてる
「せんぱい けっこうりょうりじょうずなんすよ
おれ なんどかごちそうになったけど
かれーらいすとか なぽりたんとか ぜっぴんだったすよ」
↓
えりーとのめが きらーんとひかった
「へええ なかがいいんですね なんだか こいびとどうし みたいだ」
ぎゃあと さけびそうになったおれと
きょとんとしたこうはいを こうごにみて
えりーとのやつ にやりとわらって
はむすたーおーえるのむれに むかっていった
↓
「えりーとさん へんなこといいますねー」
へらへらわらって こうはいは じぶんのせきにもどっていく
おれは あかくなったかお なんどかたたいて いすにこしおろす
ちくしょう ざんぎょうてつだってやったおん わすれやがって
もうにどと てつだってやんねえ えりーとめ
↓
「こわもてさん しょくじつくってて てもとがくるったそうだよ」
おーえるたちに せつめいしてるこえ おれのせきにも きこえた
なんだ ごかいをといてくれたのか いや ゆだんするな おれ
あまいかおみせると また からかわれるぞ
とにかく あいつのてだすけなんか もうしないぞ
↓
しょるいのやまに かおつっこんで おとなげないけっしんをする
こわもてさらりーまんのいちにち
【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15