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□ 1 / 130-131 □
【あるこわもてさらりーまんせめのいちにち】

おれはこわもて けっこう まわりにごかいされやすい
こわいひととか いつもおこってるみたいとか

でもこうはいの さらりーまんうけだけは おれをりかいしてくれる
「せんぱい ほんとはやさしいっすよ」
そうかばってくれたりしてるの おれは しってる
こうはいうけだけ りかいしててくれりゃいいさ

そんなあるひ こうはいうけが おれにもじもじしていった
「せんぱい きょう あいてますか よかったらめしでもどうですか」
ふたつへんじで いっしょにいざかやへいく

こうはいうけ なんだかきょろきょろ
あとからかわいいおんなのこ いそいできたのか
ちょっとかおがあかい

「せんぱい おれ こんど けっこんするんです」
てれくさそうに しょうかいする こうはいうけ
あかるくてかんじのいいおんなのこ
やっぱりてれくさそうに ぴょこんとあたまをさげた

「いつも おはなし うかがってます
やさしいせんぱいが いるから しごとしててたのしいって」
いうなよーとかいって こうはいうけ おんなのこをつつく

しあわせそうなふたり おれはわらって かんぱいして
おめでとうって なんどもくりかえした

ふたりとわかれて かえりみち
うれしくて かなしいことばを おもいだす
『せんぱいに いちばんに しょうかいしたかったんです』
なんだかなけてきて うつむきかげん

おれみたいなこわもてが めそめそしてちゃおかしいと
こぶしでぐいっと めもとぬぐって よぞらをみあげた
しつれんさらりーまんのいちにち

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【ある ねこかぶり えりーとりーまんの いちにち】

このごろ ざんぎょうつづきで かなり ねぶそく

でも かおには ださない
「おはよう!」
さわやかさにおんなのこ きゃーきゃー
さすがだな おれ

どうりょう じょうし こうはい
やっぱりだれも きづかない
かんぺきな おれ

え?いそぎのしごと?いいよ、だいじょうぶだよ
れいなんていいって ほんとにいいよ

だれにも きづかれないから きょうも しごと たくさん
・・・だれか ひとりくらいきづけよ このやろう

しかたないから きょうも ざんぎょう

いつもは ひとりだけど きょうは こわもてりーまんもいる
やだな こいつ にがてなんだよね

ふたりで だまって もくもく もくもく ざんぎょう
とつぜん よこから しょるい とりあげられた

なにしてんだよ このやろう・・・と いいたいの おさえて
さわやかすまいるで どうしたのと きいてやる

こわもてりーまん いつもの こわいかお「・・・そっちはわからんが こっちなら わかる」

おれの しごと わかるとか わかんないとかかんけいないだろ
おまえ おわったなら さっさと かえればいーだろ
じゃますんなっての・・・といいかけたら こわもてりーまん ですくにもどって おれのしごと はじめた

あ てつだってくれるつもり だったんだ
そのいいかたじゃ わかんねーよ ばかだな
つい すの くちょうで ぼやいたら こわもてのまんまで こっちむいた

「おまえ ぐあい わるいんだろ そっちおわったら かえれ」
えええ なんで こいつ きがついてんの

「おまえ ええかっこうしいだから てつだったの だまっといてやるよ」

なに なんなの なんで おれのこと わかっちゃってるふうなの
おまえ けっこう やさしーじゃん つーか かわいいじゃん

ほめたのに こわもて かおまっか「・・・・・・ばかか」

やべー まじでかわいい わらったりしたら もっと かわいいんじゃねーの
みてーなー ちょうみてー

ひさしぶりに こころから わらいつつ いろいろたくらむ ある ねこかぶり えりーとりーまんの いちにち

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【あるこわもてさらりーまんせめのいちにち】

さいきんますます こわもてになったと ひょうばんのおれ でもあいかわらず こうはいは あかるくて
まえよりも さらになついてくる

こうはいのやつが けっこんして かまえたしんきょは
おれのあぱーとから あるいてごふん うれしいやら かなしいやら

「せんぱい ちょっと よってってもいいすか」
しゅうになんどか そういって おれんちに あがりこんでくる
きょうも じぶんちみたいなかおして ごきげんで びーるのんでるし
おくさん またせて かわいそうだろ
でもいっしょにいれて うれしい

「おまえなあ おくさん まちくたびれてるぞ はやくかえってやれ」
うれしさをかくして こわもてを
ますますきょうあくにして せっきょう
こうはいには おれのこわもても いまいちききめがない
びーるであかくなったかお ほころばせてわらってやがる

「だって せんぱいんち おちつくんすよ」
「しんきょは おちつかないのか」
「うーん ちょっとだけ おくさんにはわるいけど
まだ じぶんちって じっかんもてなくて」

なんだか ひどくむねが いたくなった
じぶんが よろこんでいるのか おこっているのか よくわからない
「わるいとおもうなら さっさとかえれ
めしつくって まってるものの みにもなれ」
どうようしたまんま おもいきり どなった

いっしゅん めをまんまるくして おどろいてたこうはい
すぐにこまったように ほほえんで やわらかなかみ ぐしゃっとかきあげた
「ほんと せんぱいは やさしいな おれなんかより ずっとやさしい」
うつむきかげんで こうはいはつぶやいた

「おじゃましました かえります」
すっくとたちあがったこうはい おれもつられてたちあがる
くつをはく こうはいのせなかに おれは おろおろとこえかけた
「どなってわるかった また あそびによれよ
おくさんを しんぱいさせない ていどに」
いつものえがおでふりかえり かるくえしゃくして こうはいはどあをしめた

ばかだ おれは かえってほしくなんかないくせに
おくさんよりも おれのそばに ずっとずっと いてほしいくせに
せんぱいぶって やさしいおとこきどって えらそうにせっきょうかよ

かいだんをおりる こうはいのくつおとが ひびく
かえるな かえるな ここにいろ ずっといっしょにいてくれ
いいたいけど いっちゃいけない ことばばかり
のどのおくから あふれだしそうで おれははをくいしばる

おもいあしどりで いまにもどり ぺったりゆかにへたりこみ
こうはいが のみのこしたびーる いっきにあおる
からっぽになったかん ぎゅっとにぎりつぶして
せぐりあげるおえつ こらえようとして
じぶんのこぶしをかみ いきおいあまって りゅうけつした
あるばかなさらりーまんのいちにち

□ 1 / 515-516 □
【あるこわもてさらりーまんせめのいちにち】

しゅっきんするなり おーえるたちに
みぎてのほうたい みとがめられた
どうやらかのじょたち おれがどこぞで
けんかでもしたと おもっているらしい
こっちをちらちらみながら はむすたーみたいに
すみっこにかたまって なにやらひそひそ
くそう かってにはなしつくるな

こうはいが ちょっとばかり てれくさそうに
ひょこっと あたまをさげて ちかづいてきた
「きのうは すみませんでした」
いいよ きにすんなよって ぽけっとにつっこんでたみぎて
ひらっとふったら こうはいにも きづかれた
「あれー どうしたんすか そのほうたい」
こうはい しんぱいそうに おれのかおとみぎて みくらべてる
「なんでもない めしつくろうとして ちょっとてもと くるっただけだ」

「へえ こわもてさん じぶんでしょくじ つくるんですね」
いきなり えりーとさらりーまん おれとこうはいのあいだに
まんめんのえみで さっそうと わってはいってきた
じゃますんなとおもったが こうはいはえりーとに えがおでうなずいてる
「せんぱい けっこうりょうりじょうずなんすよ
おれ なんどかごちそうになったけど
かれーらいすとか なぽりたんとか ぜっぴんだったすよ」

えりーとのめが きらーんとひかった
「へええ なかがいいんですね なんだか こいびとどうし みたいだ」
ぎゃあと さけびそうになったおれと
きょとんとしたこうはいを こうごにみて
えりーとのやつ にやりとわらって
はむすたーおーえるのむれに むかっていった

「えりーとさん へんなこといいますねー」
へらへらわらって こうはいは じぶんのせきにもどっていく
おれは あかくなったかお なんどかたたいて いすにこしおろす
ちくしょう ざんぎょうてつだってやったおん わすれやがって
もうにどと てつだってやんねえ えりーとめ

「こわもてさん しょくじつくってて てもとがくるったそうだよ」
おーえるたちに せつめいしてるこえ おれのせきにも きこえた
なんだ ごかいをといてくれたのか いや ゆだんするな おれ
あまいかおみせると また からかわれるぞ
とにかく あいつのてだすけなんか もうしないぞ

しょるいのやまに かおつっこんで おとなげないけっしんをする
こわもてさらりーまんのいちにち

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【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15