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ねたばれ ちゅうい -----------------------------------------------------------
このさき ねたばれです

ねたばれじょうとう → くりっく
とりあえず よんでみる → このまま おすすみください
ねたばれは きらいだ → くりっく

□ 1 / 354 □
【くらすいいんちょうがきにくわない そこうのわるいちゅうがくせいのいちにち】

じぶんが いちばんりこうだと おもってんだろ
つくえのまえに いつも きちんとすわって いねむりなんか したことない
はんこうてきなおれらを いつもえらそうにちゅういしやがって なにさまだっつーの

いやみなやつで ぎんぶちめがねが にあってなくて
つんとすました いけすかないやつ いつもえらそうな ゆうとうせい
もうむかつくったら ありゃしねぇ

みんな おまえのこと にがてだっていうぜ
つめたいたいどが こわいんだとよ
めがねをかけなおすしぐさも こわいんだとよ
ていうか おまえ
ただ だまって あいてのことみくだす そのくせやめろよ きらわれるぞ

おれ しってるんだぜ
まいにち おまえ じゅくから だれもいないいえに ひとりでかえっていくだろ
えらそうな おまえのせなかが そのときはすこしだけ ちいさくみえたんだ
だまって かぎをあけて いえへはいっていくすがたが あんまりさびしそうだったから
けっとばしてやろうかとおもったんだ

ずっと ゆうとうせいやってて つかれねぇか とからかったら
「うん つかれるよ でも ひとりくらい ゆうとうせいがいなきゃ よのなかまわらないだろ」
ったく まじに こたえんなよ でも あいつわらったな わらってたよな
とりあえず はじめてみた かれのえがおに すこしむねがたかなる そこうのわるいちゅうがくせいのひるやすみ

□ 1 / 379-380 □
【ある とししたのおさななじみうけ のいちにち】

あしたからひとりぐらしをはじめるぼくの ひっこしをてつだってくれた としうえのおさななじみせめ
あたらしいへやに さいごのにもつをはこびこんで きんじょのこんびにまで ふたり あるく

ついこのあいだまで らんどせるしょってたのにな といって わらう おさななじみせめ
なんだよ いつまでも こどもあつかいして なんて にくまれぐちをきく ぼく
いいじゃないか あとすこし あにきづらさせてくれよと くしゃくしゃあたまをなでられた

だいすきな おさななじみせめから きょりをおくために えらんだ だいがく
てつやで べんきょうして おやのはんたいも おしきって ごうかくを かちとった

かのじょができたと うちあけられたひから ずっと わすれようとしてきた こいごころ
らいげつ そのひととけっこんする せめへのおもいを きょうをさかいに たちきるんだ

おれんじいろにそまった ゆうやけぞらのした ゆっくりゆっくり ならんであるく
もうすこし あとすこしだけ こうして せめのとなりを あるいていたい
いつまでも みれんがましいじぶんが いやになる
がんばって とおくのだいがくに うかったのは そんなぼくじしんを かえるためなのに

つい こぼれたためいきに きづいたせめが どうした?と ぼくのかおを のぞきこむ
たんせいなかおが ちかづいてきて もうほーむしっくか なんてきく ぼくのきもしらないで

わすれようとしている おもいが からだのなかで あばれだす

れいせいになれと じぶんにいいきかせて なんでもないよと ぶっきらぼうに いいかえす
ばかみたいに あかくなったかおは きっとゆうやけが かくしてくれるだろう

いじっぱりなのは むかしからだなと やさしいこえがふってきて せめのてが ぼくのてをつつむ
いえなかった ことばの かわりに ぎゅっと そのあたたかいてを にぎりかえした

のんびりとしたほちょうで てをつないだままあるきだす せめのせなかが なみだでぼやけた
にじんだゆうやけぞらをみあげて せつないきもちをもてあます あるおさななじみうけのゆうぐれ

□ 1 / 394 □
【ある せいとせめのいちにち】

せんせい、おれとつきあってよと ありきたりなことばで こくはくした よくあさ
つうがくろで めがあった せんせいは さりげなく しせんをそらした

なんだよ へいきなふりしてたけど きのうのおれ ひっしだったんだぞ
さんざんなやんで こくったのに へんじももらえずさけられて しょうじきへこむ

みつめる しせんのさきで せんせいが きょうしせめに あいさつしてる
だいすきな あのまぶしいえがおが きょうしせめだけに むけられてる

れんあいにかけては ひゃくせんれんまと いわれてる きょうしせめ
うわさどおり てごわいあいてだ あっ きやすく せんせいにさわるな

ちゅうがくせいという じぶんのたちばを はがゆくおもう あるせいとせめのあさ

□ 1 / 398 □
【ある きょうしせめのいちにち】

せんせい、おはようございますと さわやかなえがおを きょうしうけにむける
つきささるようなしせんを こうとうぶにかんじる せいとせめがみてるんだな

なれたしぐさで かたにてをのせて おくれちゃいますよと きょうしうけをうながす
さついのこもっためつきで おれをけんせいするせいとせめが しせんのはしにうつる
みないふりをして わざと きょうしうけと みっちゃく えがおをひとりじめ

だけど きづいてしまった あかるくふるまう きょうしうけのめが すこしあかいこと
れんがづくりのもんをぬけ しょくいんげんかんのまえで あかいめの わけをきいた

うつむいたきょうしうけ せいとせめのいるほうをちらりとふりかえる げんいんはあいつか

ちゅうがくせいにまけそうだなんて みとめるわけにはいかない あるきょうしせめのいちにちのはじまり

□ 1 / 449 □
【あるかたおもいめがねうけのいちにち】

とまったたくしー おこすのがむりなほど よっぱらいぜめはゆめうつつ
もう、しかたねぇなぁ わざとらしいためいき たくしーまたせてかついでへやへ

だるいからだにちからをいれて いっぽいっぽあめのろうかをあるく
ちかくにかんじるたいおんと こきゅうと たばこのにおいに
のどが なさけなく ごくりとなった

かってにへやのかぎをあけて いちどもはいったことのないしんしつへふみこむ
べっどにころがしてやると しあわせそうにまくらにほおずり
くそ、おれのきもちしりもしないで しあわせそうにしやがって
ずっとずっと もう ずっとずっとすきで おかしくなりそうなくらい すきなんだ

せっかくだから   きすくらい いいかな
なんておもってかおをよせる さけくさいいきが はなさきをかすめたしゅんかん
いきなりねがえり しんぞうがこわれそうなほどみゃくうって からだをどける
のんきにねているよっぱらいぜめのかおが すこしだけ つらい

かわらないたいどで あしたもきっとわらえるから
なにもしなくて …できなくて よかった
これでよかった よかったんだよ おれ
のどのおくと まぶたのおくが なんだかあつい
まっくらにしたへや ふりかえってねいきだけ みみにのこした ↓
またせてたたくしーのらんぷが なんだかにじんでて
これはきっとあめのせい
わらおうとしたけど うまくわらえない
くもるのはめがねのうちがわ

てをあげるまえにしずかにひらいたどあからからだをすべりこませて しーとにしずむ
ふぅ と おもわずふかいためいき
みないふり きこえないふりのどらいばーのたいどが いまはありがたい

だってどうしようもない いいだせるわけがない
せっかく【しんゆう】になったんだろう これいじょうはいらない
なにものぞむものなんてない もうなれきった じぶんへのうそ
いいきかせるようにむねのなかでくりかえす かたおもいめがねうけに よるがにじんだ

□ 1.5 / 129 □
【ありふれたさらりーまんの いちにち りたーん】

おおきな おおきな いつものえき
また おれはそこにたっていた
「えきで まちあわせだからな」
そんなやくそく いつもしてたっけ
こりずにいつもちこくしていた おれなのに
にっこりわらってゆるしてくれたおまえはもういない

いつもすぐにけんかして
るすでんに 「ごめん」 それだけいれてなかなおり
だいすきだから なんでもゆるせるし ゆるせないんだ
ろうそくのあかりのように あたたかくてやさしいおまえ
うすれてゆく きおくのなかのおまえ おればかりとしをとる

はしってきた おんなのこのすかーと とつぜんめくれる
「やーん」とかいいながら はしりさってゆくすがた これからでーと?
くれてゆく にちようびのごご
おれは いったいなんじかんおまえをまっているのだろう
まってもまっても おまえはくるはず ないのに
「えきで まちあわせだからな」
にどときけない おまえのこえ

あめがふっていないのに なぜか おれのて ぬれた
いちどもみたことのない あいつのなきがお とつぜんうかぶ
ただ ただ なきたいのに なけない
いいかげん たちなおらないといけないとおもっている かなしいおとこのいちにち

□ 1.5 / 133 □
【ある ゆうれいのいちにち りたーん】

たのしいときは もうもどってこないのか
とまった とけいは もううごかないのか
えいえんに なった ぼくはもう
このうでで あのおとこをだきしめられないのか
のうてんきな ぼくでも かなしくなる
みじかい じんせいだったと いまさっき おもいだした
がいとうに うつしだされたおとこ おれのこいびとだったひと

ながい じかん おまえを わすれていてごめん
くやしい きもちのまま えきにかけつけた
なきそうなかおをした おとこ がいとうにてらされて そこにたってる
つい むねを たかならせてしまう
てまえに いた おんなのこの すかーと めくれる ひめいのあと
「もう きょう ついてない さいあくー」だって すみません

きのうも おとといも このばしょに おまえ いた
みっかまえも このばしょに おまえ いた
おまえは
ずっと ぼくを おぼえていたのに ぼくは おまえを わすれてた
つい かなしくなって なみだが こぼれた
とけい おねがい もういちど うごいて たんじょうびなのに ぼくはもう としをとれない

あめが ふっていないのに おとこのて ぬれる
いちども おまえのまえで ないたことなんて なかったのに
しめる おとこのて それは きっと ぼくのなみだ
また いつか おまえと いっしょにすごしたい うまれかわったら いっしょにいよう
すぎさった ひびはもう もどらない ある ゆうれいのいちにち

□ 1.5 / 510-511 □
【あるふたごのかたわれのいちにち】

「だいてくれ」
いつもとちがってあなたはかおをあげなかった
たぶんおれはいつかそういわれることをしっていたのに
らんぼうで、なげやりで、でもせつじつだったことば
「おれはもう、げんかいなんだ。…たのむ」
「わかっているんですか、そのことばのいみを」
「りくつじゃない。ほしい。おまえのからだがほしい」



あにににたじぶんがにくい
あにとあにになかったすべてがにくい
しっとではたりないこのかんじょう
てあらにあつかうのをゆるしてほしい
いてもたってもいられぬげきじょうにまかせて
たいえきのすべてをうばいつくすように
ののしりながらあなたをくみしいた
にかげつまえのよる
それからもおもいだしたようにあなたはおれをもとめる
れいがいなくおれはらんぼうにだいて
でもそれがあににたあいぶ
もうゆるして、といいながらあにのなをよび
おいうちをかけるようによがってすすりなくそのあえぎごえ
れいがいなくおれはいかりにかられ
はげしいせっくすをきぜつするまでつづける



あいしているといいたい
なくあなたをやさしくだきしめたい
ためらうことなんてもうなにもないはずなのに
がまんしなければならないこともないのに
ほんとうは
しぬほどあなたが
いとしいのに

□ 1.5 / 621-622 □
【ある こわがりなおとこの いちにち】

まよなかに めがさめる こわいゆめをみた またか
たくさん あせをかいてる なさけない

こんなしせいで ねむっていたら
わるいゆめを みるのも とうぜんじゃないか
いつか そういった おまえのことを おもいだす まただな

ゆびを むねのまえでくむのは しにんがひつぎでねむるしせい だから
めいどに まちがって つれていかれてしまうんだ と
みみもとでつぶやきながら おれのゆびを ほどいたおまえ
たぶん こうしていれば だいじょうぶ そういって わらって
かさねたゆびを しーつのうえ ひとばんじゅう にぎっていたおまえ

いつか とおいむかしの あるよるのはなし
まもなく あいつは こうつうじこで しんだ ばかだな
もうすぐ それからいちねん おれはこわいゆめばかり みている

そうしきのひ ひつぎのなか ゆびを むねのまえでくんで ねむってたおまえ
ばれないように ひつぎをあけて そっと ゆびをほどいた
にぎりしめたゆびは おどろくくらい つめたかった
いいな これで こわいゆめは みないだろう?
まるで いきてるみたい きれいなねがおの おまえが
すこし うなずいたようにみえたのは きのせいだろうけど

なあ おまえ
かえってこいよ ばか
なあ おれこわがりだけど おまえのゆうれいなら こわくない
くらいのとか ひとりのほうが よっぽどいやなんだよ
てぐらい にぎってろよ かいしょうなし ばか

いつもより あつくて ねぐるしいよる きっとまた あくむをみる
いないとわかっている なにかをさがして しーつのうえ てをさまよわす
よわくて おくびょうなおとこの あるねったいや

□ 1.5 / 649 □

なつだね もうすぐ おわるけど あなたとも もうすぐ おわるのかな
つまさきだつ ぼくの からだを するーするー と すべらかに ふれてゆく あなた

あなたの したが ぼくの つつの くびれに いっしゅん とどまる
きもちよくて めがくらみそう ぴちゃぴちゃ と いやらしい みずおと

だいすきな そうめんの かんしょくを きおくに きざみつけようとする ある
ながしそうめんだい の いちにち

□ 1.5 / 707 □
【ある ほへいの いちにち】

なきごえが きこえて おもいまぶたを むりやりもちあげた
かみが ひたいに はりつく ふかいなかんしょく
なつのあつさと しっけで あせだくになったからだ
いたみを ちかくするとどうじに おもいだした

でんれいを うけて きしゅうをかけたつもりが
くせんを しいられて いつのまにか かこまれた

れつがみだれた しゅんかん あいつをねらう てきにきづいた

おもわず だんどうをさえぎるように とびだしていた
まさか このおれが こんなはんにんまえを かばうなんて な

えみをうかべたおれに きづいたあいつが かおをゆがめて どうして、とつぶやく
はんにんまえの くせに おれの こうどうに もんくをつけるんじゃねえ

いきをするのも つらくなってきた むねのあたりが やけるようにうずく
きずがふかいことなんか みなくたって わかる
ろれつの まわらないしたで ひっしに さいごの ことばをつむぐ

「       、       。」

□ 1.5 / 709 □
【ある どんかんなうけの いちにち】

あさから いやなよかんがしてた こういうかんは むかしからあたる
かかってきた でんわにでたら やたらはぶりのいい きちくせめからだった

よびだされたさきは やけいがきれいなこうきゅうれすとらん こういうのはにがてだ
りらっくすしたようすで きげんよくぐらすをかたむける きちくせめ

しっかり かくほされた すいーとるーむのかーどきーをみて いまさらきんちょう

ろまねこんてぃがどうのって よくしらないけど そうとうたかそうな あかわいん
がんがんあけてるけど だいじょうぶなのかなと ちょっとしんぱい

すっかりできあがった きちくせめ いつもより ちょっとじょうぜつ
きれいだろ とやけいをゆびさす おまえのために よやくしたんだぜ だって

なんでぼくなんかさそうんだろう きちくせめなら あいてはよりどりみどりだろうに
のみきれない わいんを ぐらすのなかで くるくるまわしながら こっそりためいき

にぶいあいてにてをやいて じつはどうしたらいいかわからない きちくせめが
なやみぬいてけいかくした でーとだったなんて しりもしない あるうけのいちにちのおわり

□ 1.5 / 723-725 □
【ある かたおもいちゅうの せめの いちにち】

どすうがあわなくなった めがねをしんちょうしにいったはずの てんねんうけ
うっとうしくなってきた まえがみもきって さっぱりしたいと いっていた

よくあさ まちあわせばしょにきたてんねんうけは かれいなへんぼうをとげていた

こどものころから かけていた やぼったいめがねと おもたいまえがみが なくなって
のぞきこんだら すいこまれそうな きれいなめが おしげもなくさらされてる

かみ、きりすぎたかな? なんていいながら まえがみをつまむ てんねんうけ
わるくないんじゃねーの とか むかんしんを よそおって こたえる おれ
りょうわきを とおりぬける つうこうにんが ちらちらとしせんをなげてくる
よせ みるんじゃねえ こいつは おれのだ とは いえない かなしさ
うざったい がいやのしせんは たえずまとわりついてくる くそ いらいらする

めんどいから こんたくとにはしないって いってなかったか?と さぐりをいれたら
がんかにいったら こんたくとをすすめられたとこたえた いしゃめ よけいなことを

ねるときにはずすの ついわすれちゃうんだ ちょっとこまったかおで いいながら
のほほんとわらう ゆにせっくすな そのかおが かわいくてたまらない ちくしょう

しかしまいった これからさきこいつは こんなひょうじょうをだれにでもみせるんだ
たちまち きぶんがおもくなる おちこむおれをみて てんねんうけがきょとんとしてる

のんきに はなのしたを のばしてるばあいじゃない
すぐにむらがってくるだろう きょうてきと たたかうかくごをきめる おれ
がいちゅうどもに だいじな てんねんうけを わたすわけにはいかない
↓ おれだけがしってた こいつのみりょく いまさらだれかに ゆずってなんかやらない ↓
ひとり あつくなる おれを てんねんうけが くびをかしげて みつめる
としそうおうとは とてもいえない じゅんすいさも なにもかも いとしい
りゆうなんてない せいべつだってかんけいない おれは こいつがすきだ

じっとみつめていると やっぱりへんかな?と まゆじりをさげて いう てんねんうけ
めをあわせたまま いっそ ほんとうのきもちをいってやろうかと くちをひらきかけて
しかられるのをまつこどものようなかおで みあげてくるあいてをみて なにもいえなくなる

ためいきをついて べつにへんじゃねえよ、とすてぜりふをはく ちきんなおれ

いつかかならずおもいをつげようと あらためてこころにちかう あるせめのいちにちのはじまり

□ 2 / 163 □
【あるくちべたなおとこのいちにち】

おれのこいびとの くちぐせ「あいしてる」
まいにち まいにち あたりまえのように やさしく
えみをうかべて そういってくるこいびと

おまえそんなこと はずかしげもなく よくいえるよなと
あきれてつぶやいたら すこしこまったようなかおで
いつもほんとうに そうおもってるんだ おまえがいちばんだいじだよ だと

してやられたってこのことか なんかいっぽんとられたきぶん
てをあげて こうさんのぽーずをとったら こいびとがわらった

るすでんにも はいっていたときは いわれなれてるおれでも さすがにおどろいた
いつも かえりおそくてごめん めしはてきとうにくっててくれ あいしてる

つーか なんでこいつ 「あいしてる」って すなおにいえるんだ?
もうずっと きいてきただけの ことばだけど ほんとうは
ずっと ずっと「おれも」って いいたくて でもいえなくて

つまんねぇいじとか てれとか ぜんぶすてて こんや「あいしてる」
と あいつがかえってきたら いってみようかなとけっしんする くちべたなおとこのよる

□ 2 / 253-254 □
【ある かたおもいしているせめのいちにち】

いちにちのうちでいちばんすきなのは かれをみつめているじかん
ちいさなみせのかたすみで おとこはゆっくりとぐらすをつまむ
さくらんぼのはいったかくてる このみせのおりじなるなのだそうだ
んー ちょっとじんがききすぎてるかなーとつうぶってつぶやいてみたりして

すこしうるさいていどのざわめき おとなしやかなおんがく
きでできたついたてのむこうには おもいびとがいる
でもむこうはかれのことをすきではない むしろきらっているらしい
すきだといっておえば まゆをひそめてにげてゆく めんとむかっていわれたことすら

ああ せつないなあなんていいながら
いろあせたかくてるをすべてのどにながしこむ
しろいかうんたーのむこうで ますたーがだまってめせんをよこす
てでふたをして いらないというあいず

まるでどうけにもにたおもいのつたえかた ばかをやることですかれようとした
すこしのあいもうけとらぬまま かれはどこまでもにげていく
とどかないゆびさき つめたいしせん
どうしてもてにいれたいおもいがつのって こうしてかれのいきつけのみせまでつきとめて

けいたいがふるえた

もういちどだけついたてのむこうにめをやって けいたいをとる
れいじをとっくにまわったじかん かかってきたのはゆうじんからだった
のみのさそい いまなんじだとおもっているのだか
あいづちをうちながら じっとついたてのむこうをみる
いくよとへんじしてでんわをきった

きっとおれのあいはいつまでもとどかないんだろうな こんなことばっかりしてたんじゃ
もう あきらめることもできないけれど

いつまでも ついたてのむこうをみつめたままうごけないおとこ
よるのやみにうもれゆく むくわれないかたおもい

□ 2 / 481-482 □
【ある ちゅうがくせいの いちにち】

うるさいくらいの あぶらぜみのなきごえと
まなつの あすふぁるとの かげろうをつれて
くだりざかをかけぬけ きみは じてんしゃでやってくる

いつもいっしょにすごす ひるさがり
えあこんもない たたみじきのいまで せんぷうきのかぜをうけて
なつやすみのごご だらだらすごす ふたりきりのじかん
いつまでも こうしていられると ほんきでおもってた

けれど このよは しょぎょうむじょう ひとのこころも おなじこと
どこでなにをまちがえたんだろう それとも まちがってなんかいないんだろうか

ぼんやりと まくでおおわれたみたいに きみのこえが なんだかすこしとおい
くりかえしくりかえし かっこわるくなきながら ぼくにいう ずっとすきでした って
もういいよ もうよくわかったから

きづいてたんだ ほんとうは きづいてたんだ
みんな しってたよ きみのきもち

のどがちくちくする ぼくも ないてた

こわくていいだせなかった ぼくのきもちを かわりにはきだすように
とりとめもなく なみだをぼろぼろこぼしながら きみは「すき」をくりかえす

ずいぶんと ながいあいだ そうしてふたりで ないていた
つくえのうえに ほうっておかれたじゅーすは こおりがとけて うすくなっていた
とつぜん きみは はなみずをすすって ぼくをみた

まぬけだね おれ ごめんね わすれてよ
えへへと きみはわらった まっかになっためが ぜんぜん わらってない

かえるじかんだから と きみはいった なきつかれたこえは すこしかすれてた
らいしゅうあうやくそくさ なしにしたいならそれでいいよ ききとれないこえが たしかにそういった

すがりつくように ぼくはきみのゆびをつかまえる これがぼくのせいいっぱい ごめんなさい
きもちはつたわったみたいで きみは ありがとうといって また ちいさくしゃくりあげた

であったころは こんなふうになるなんて かんがえもしなかった それでも
しあわせだから それはそれでいい とおもう
たいせつなともだちが ちがう「たいせつ」になった あるちゅうがくせいの いちにち

 
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【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15