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【あるくれーんげーむのぬいぐるみのいちにち】
おれはわにのぬいぐるみ、くれーんげーむれんちゅうのなかではわりとふるかぶ。
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だってまわりはみんなふぁんしーろせん。じゅうぎょういんめ、いれまちがえやがった。
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ねえねえ、やっとあいたよとはなしかけてくるのはおれのからだひとつぶんはなれたくまぬい。
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はなしかけられてめちゃくちゃうれしいのに「しるか」なんてあくたいつくおれのばかばかばか。
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きょうはだれがもらわれてくのかな? とくまぬいはさみしそう。
なぜならあいつのいちはなかなかむずかしいところだから。
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そんなさみしいかおするなよ、おれまでなんだかさみしいぜ、とおもいながらも
さけたくちは「だれだっていいだろ」うう、おれのまぬけ。
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そんなおれはらっかぐちからほどよくちかい。ついでにさあもってけといわんばかりのだいのじね。それでもだれもねらわない。
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あ、かっぷるがきた。ほんじつはつのかも。
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「ねえねえ、あのくまとって!」ってばかおんな、あいつは……おれの……
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……ん? おれ、どうしたいんだ?
おれみたくくれーんげーむのぬしになるあいつなんてみたくない。
でもつれていかれるのはもっとやだ。
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かれしはしょうがねぇなあ、なんていってこいんをちゃりん。
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あーむがういんういんうごきだす。
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だいじょうぶだいじょうぶ、くまぬいをとれるのはよっぽどのうでじゃないとだめだ。
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ほらな、あーむはくまぬいあきらめた。
そのかわりつれていくのはくまぬいとなかよしだったねこぬいだ。
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「ばいばいねこぬい、げんきでね」なんていうあいつ。ねこぬいもてをふりかえしてる。
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ねこぬい、じゅんちょうにらっかぐちへぽとん。
「かわいー!」なんてだきしめられちまってまあ。
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「いいなあねこぬい、ぼくもはやくあんなひとにとられたいなあ……」
ちょっとまて、おまえあんなのがよかったのか。
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「……そーか。はやくとられるといいな」でもむりだ。
だってくまぬいのしたのぞうぬいがもっていかれないかぎり、
あいつはあーむのしゃていはんいにはいらない。
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くまぬいがふいにおれをみつめる。なんだ、わたしかないのにむねがくるしい。
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「はやくもっていかれたいけど、きみとはなればなれになるのはいやだなあ……」
なんだって!?
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どぎまぎしすぎてなんにもいえずにねたふりかんこう。
おれわになのに。すっごいへなちょこ。
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いつかおれもねこぬいみたくだきしめてもらえるひがくるのか、いやそうなるとくまぬいは……?
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そんなあさっぱらからじれんまにおちいるあるくれーんげーむざいじゅうわにぬいのいちにち。
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【あるくれーんげーむのぬいぐるみのいちにち】
「ばいばいみんな、おせわになったぱお」
なんていってんじゃねぇぞうぬいめ、あっさりもっていかれやがって。
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さてこまった、くまぬいがころがりおちておれのすぐちかくに。そしてあー
むのしゃていはんいへやってきた。
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「やっときみのちかくにこれた」なんてうれしいこといってくれるじゃねぇか
くまぬい、けどどうじにあーむにねらわれるひびがはじまったんだぜ。
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でもほとんどとなりどうしになれたから、まあいいやなんておもう。
……え、てをつなごう、だって?
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そうか、くまぬいのしりーずはてにじしゃくがはいってるんだっけ。おな
じしりーずでてがつなげるようになんだけど、おれのてにはじしゃくがない。
ごめんな、というとくまぬいはかなしいかお。ああ、おれもかわいくうまれ
たかった。
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あ、かもだ。おとこがふたり。あの背のひくいほう、なんとなくくまぬいににてる。
なんだなんだこっちにきたぞ、「なんかとってよ」だって?
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せのたかいほうがおれたちをのぞきこむ。なんだこいつ、めつきわるいな。
めつきわるいの、こいんをちゃりん。
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あーむがうごきだす。さてきょうのだっしゅつしゃはだれだ、
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あ
くまぬいだ。
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こいつ、かなりのうでだ。あーむがせいかくにくまぬいをねらってる。
ああ、あーむがひらいてさがってくる。
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「やだ! たすけてわにぬい、たすけてよ!」
こしをがっしりつかまれてくまぬいがさけぶ。
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くまぬいがてをさしだしている。
おれがくまぬいのてにつかまれば、ばらんすくずしてたすけられる。
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あーむがもちあがる。くまぬいがなきだしそうなかおでさけぶ。おれはなにもしない。
ただ、そのすがたをやきつけた。
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くまぬいがらっかぐちへ。せのひくいほうがくまぬいだきしめてわらう。
めつきのわるいほうもなんだかやさしいめをしてた。
でも、くまぬいはかなしいかおをしていた。
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ふたりがみせをでていく。
そのせなかによびかける。
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さよなら、くまぬい。
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きょうきいちまったんだ、じゅうぎょういんのはなし。
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『そろそろここのやつとりかえるか』……って。
のこったやつはばいとのこにくばって、あまったのはすてようか……って。
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おれはたぶんいなくなるけど、おまえはしあわせになってくれ。
もらわれて、よかったな。
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ぷらすちっくのめだまをうるませでいりぐちをいつまでもみつめている、
もやされるうんめいがちらつくわにぬいのごご。
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【ある げーむせんたーの あるばいとうけの いちにち】
ほかの ばいとの おんなのこに かこまれている しゃいんせめ
なんだか さわがしいけど めをそらして けーすをふく
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しゃいんせめは しごとのことでは きびしいけれど ねはやさしいから にんきがある
なんどか おんなのこに こくられてるのも しってる
いまさら どうってことは ない おもってみるけど
そんなのは つよがりだって じぶんでわかる
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そんけいしてて いつもめでおってて となりにいたくて でもじぶんはおとこで
いえないことばが いっぱいたまって もう まっすぐ みることも できない
せめて しごとをきちんとして きらわれないように するのが せいいっぱい
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けーす きれいになった よごれた てで ひたいのあせ ぬぐう あるばいとうけ
そのかたを ぽんとたたく しゃいんせめ
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な なんですか びっくりして どもるあるばいとうけに ぽんとわたされる わにのぬいぐるみ
だいがえで のこったやつ おんなのこにくばってたんだけど
これだけ あまっちまった おまえにやるから かのじょにでも やりな
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くれーんげーむのぬいぐるみ
もうながいことけーすにはいっていたのか すこしふるぼけてる
それでも おれに くれたんだ おれに あなたから
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どんなにうれしかったか どんなにせつなかったか あなたにはわからない
わからなくていい せなかみつめて ぬいぐるみだきしめた
だいじにします いっしょうのおもいで
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かなわないこいを ぬいぐるみにふうじこめて あすもはたらく あるばいとうけのいちにち
【ある○○のいちにち】in 801 since 2004/5/15