ある さらりーまんの いちにち 2

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15-16 30-32 40 170 240-243 358 710-711,759-760  ■  みっかよりながいにっき / 505…

□ 15-16 □

ねんまつもちかづいてきたせいで
しごとが ばかみたいにいそがしい
きょうも しゅうでん
まっくらなみちを いえへといそぐ

たどりついた ひとりぐらしのわがやは
きょうも まっくらなまま でむかえてくれた
ためいきをついてかぎをあける

かすかに きこえてくる おと

「もしかして」 しんぞうがたかなった
じぶんのいえなのに しのびあしで
こっそり りびんぐの どあをあける

おおきくなった いびきのおと
そして ひさしぶりにみた ねがお

「しばらく ゆっくりあえなさそうだ」
でんわでそういったら
「おれも いそがしいから ちょうどいい」
って わらいながら いってたのに

ふかいくま こけたほほ
ああ いそがしいのは ほんとか
どことなく かおいろもわるい

そふぁでねてたら かぜひくよ
そう いいたいのに これじゃおこせない

とりあえず えあこんのすいっちをいれて
しんしつから もうふをにまい
いちまいはかれにかけて
もういちまいは じぶんがくるまるため

あしたは すこしだけ はやおきをして
ひさしぶりに ちょうしょくを いえでたべよう
ふたりで

いびきを こもりうたに ねむりにおちた
あるりーまんのいちにちのおわり

□ 30-32 □
【あるかいしゃの かちょうのいちにち】

あなたが かいしゃにじひょうをだした と しったのは きのうのひるさがり
おれがといつめたら すこしだまって しせん おとした
かおをあげたときのひとみが おだやかだったから
あなたのけついは かたい と しった

そもそも りすとらたんとうなんか あなたにむいてないのは しゅうちのじじつ
だれよりやさしくて みすてることがにがてで みんなにすかれてるあなただ
じんじたんとうでもないのに かいしゃはそのせきむを あなたにあたえた

きっとさいしょから じぶんもやめるかくごで ひきうけたんだろう
あなたのかんがえ いたいほどわかる
ずっとあなたのしたで はたらいてきたおれだから

けさ かいしゃから せいしきなじんじいどうのはっぴょうがあった
やめていくひと やめさせられるひと もじになるとあっけない
そのなかにある あなたのなまえ

ぶないのにんげんあつめて いつものちょうしで はなすあなた
「きゅうなことで みなさんには もうしわけないとおもっています」
いつだってそうだ あなたは ぶかにだってけいいをはらってくれる

あなたのはなし きいて ぼうぜんとするこうはい なきだすじょししゃいん
なんでだよ と どなるどうきに かたをつかまれる
「おまえは くやしくないのか」

くやしくないわけ あるか
ゆうべあのひとをおいかけて のめないさけあおりながら
なんど じひょうをとりさげてくれるようにたのんだか
うぃすきーをすすりながら あなたはにがわらい
わかってるわかってた だけどいわずにいられなかった
さんざんひきとめたさ でもな

くちひらかないのは ことばがこぼれおちそうだから
さいごに あなたはおれをみて しずかにうなずいた

おれは かいしゃにのこるよ あなたがのこしたもの むだになんかしない
このかいしゃたてなおして それから むねはって あなたに あいにいく

ぶちょうのさいごのすがたを めにやきつける
したむくと なみだおちそうだから いつもどおり まっすぐみつめる
いじっぱりでまけずぎらいなかちょうの あるあきのひ

□ 40 □
【ある りーまんの いちにち】

「きのうはあいつとのんでたのしかったなあ」
おれがかいしゃにいくとあいつががんたいをしていた

「おまえとわかれたあとにいかついのにからまれてな」
とあいつはわらいながらいった わらったあとで
「いたっ」
といって
「ひとはりぬった めのよこだからだいじょうぶ」
とつけくわえた

おれがいっしょだったら そんなけが させなかったのに

おもわず
「ごめん」
といってしまった

なんでおまえがあやまるんだよ とわらわれながらも
もういちどあやまってしまった あるりーまんのいちにちのはじまり

□ 170 □
【さみしいおとこの ふゆの いちにち】

こんなにも ひとりぼっちは さみしいのかと
おもいあしどり ふゆのよみち

こいびとは きょうもざんぎょう よふけまで
しごととおれと きけないけれど

みそじこえ るいせんよわく ふあんまし
ずっとよるが つづくきがして

くらいへや でんきをつける おとひびく
るすでんランプ ははおやのこえ

げんきかと たまにはれんらく ちょうだいと
かぼそいこえに おいをかんじて

いとこには こどもがうまれて おやとなり
おやにならない じぶんがはがゆく

ネクタイを ゆるめてビールの かんをあけ
なさけなさをも ながそうとして

しあわせが どこにあるのか わからずに
みそじおとこの ためいきおちる

さみしさが ましているのは さむさのせいと
サラリーマンの よるがふけゆく

□ 240-243 □
【ある しゅうしょくかつどうせい のいちにち】

さいきんなんだかやるきが でない
どうせさんりゅうしだい それもぶんけいで
せんもんちしきが あるわけじゃないし
したいしごともないし ゆめもない
あーでも にーとには なりたくねえなあ
あさ めーるみたら またいっこおちてた くそう
「こんかいは ごえんが ありませんでした」
なんて かみきれいちまいで きめんなよな ちくしょう

きょうも しゅうしょくかつどう
じゅうたくめーかーの せつめいかい
しゅうかつちゅうのだいがくせい のろのろしたく
さいしょはねくたいむすぶのも ひとくろうだったのに
さいきんは うまくなった
「おれが えたものなんて これくらいなのかなあ」
なんだか かなしくわらって いえをでる

でんしゃにゆられて かいじょうにつく じっぷんまえ
じんじに あいさつ
げんきに あいさつ
っはよーございます
これくらいしか とりえないもんね
「きみは げんきがいいねえ」
じんじのひと わらってそういってくれた
ちょっとうれしい なまえ おぼえてくれたり しないかな

せきにつく となりのやつの かおをみる
なんだか みんなかしこそう
つくえのうえに だしてるりれきしょ ちらみ
げっ こいつ きゅうていだい じゃん
あれだ いわゆる いちりゅうこくりつだい
おれのでるまく ありませーん てかんじ?

「きょうは おあつまりいただいて ありがとうございます」
あ さっきのじんじさん
きょうのせつめい してくれるのかー
ちゃんすかも あとで しつもんしちゃおう

さらりーまんの すーつすがたは
おれたち ひよっことちがって なんだか かっこいい
おとな なふんいきだし
おれも ああなれるのかな なりたいな
かっこいいなあ じんじさん
ぼんやりみとれて はなしきいてたら
「きみ ねむそうだねえ ぼくのはなし つまらないかな」
じんじさん にがわらいして おれにいう

い いえいえ そんなことないっす
ってか となりのやつ わらってるし
みんなにも わらわれてるし
あー でもみとれてたなんて いえねえ
いや ここでいったら うけるかな
いやいや そんなの はずかしすぎるっす
ばかみたいに へらへら わらってみた
ばかだな とかおもってんだろ となりのやつ このやろー

とうぜん しつもんなんて できなくなって
おわってから じんじさんに あやまりにいく
さきほどは すみません あの けっしてねむかったわけでは
「いいよ いいよ ぼく はじめてだったんだ せつめいかい
 にがてなんだよね おおぜいのまえで はなしするの」
じんじさん にがわらい
いや そんな もうしわけないのは こっちのほうで
このひと いいひとだなあ
それに おとななのに ちょっとかわいい

おんしゃが だいいちきぼうなんで あのう おとさないでくださ い
「そうなのかあ ありがとう でも そのためにはもっと きみのこと しらなきゃね」
そういって またわらう
なんてうれしいこと いってくれるのか
このひとと はたらけたら いいなあ
よーし おれ えんとりーしーと もりもりかいちゃう
よんでね じんじさん
おれのこと もっとしって ちゃんとしって

このあと めんせつかんとして さいかいし
なんとか ないていまで こぎつけ
おふぃすらぶが はじまるのは まだまださき の
ある しゅうしょくかつどうせい のいちにち
はるは とおい

□ 358 □
【あるしんにゅうしゃいんせめのいちにち】

しんじんけんしゅうにもそろそろなれた。
どこにはいぞくされるのか、どうきのやつらとひびうわさばなし。
えいぎょうはのるまきついらしいとか、ほうじんにいきてーなとか。
やっぱほんしゃがいいよな、とか。

まだしぎょうじかんにははやいあさのびる。
ひとのいないほーるでえれべーたーをまつ。ちーん、ととうちゃくのおと。

「あれ? はやいね」
ふりむけば、けんしゅうたんとうのせんぱいうけさん。
じんじたんとうだ。さいようしけんからまなーけんしゅうまでおせわになってます。
いっしょにえれべーたーにのりこむ。

とびらがしまる。ふたりきり。みっしつになったのをいしきしてしまう。
いきぐるしい。
「どう、なれた?」
はい、まぁ。なんて、げいのないへんじ。

じんじのふろあは、けんしゅうかいじょうのかいぎしつのふたつした。
「じゃあ、がんばってね」
かるくてをあげておりていくせんぱいうけさん。

ちーん、ととびらがしまる。

はぁぁぁ。
とびらがしまったとかん、おおきくいきをすう。いきぐるしいはずだよ、おれいきとめてたよ。

あーぁ、やっぱほんしゃがいいよな。

はいぞくさきがまだきまっていないしんにゅうしゃいんのあるいちにち。

□ 710-711 □
【ある ちゅうかんかんりしょくな さらりーまんの いちにち】

ためいきをついて しょるいをまとめて せきをたつ
ひるやすみあけには しゃちょうによびだされている
おこられることがわかっているから きがおもい
じぶんのせいじゃないことでも おこられるのがかんりしょく
ぶかのしっぱいを ふぉろーできないじぶんのせい

「おまえ おひるたべた?」
そのとき うえのふろあから のんきなこえのないせんでんわ
どうきのなかまから らんちのさそい

「しょくよくないから ひるめしはいい」
「そんなこといわずにこいよ」

けっきょく しぶしぶながらつきあうはめに
むかしからこいつは ひとのはなしをきかない
ごういんでわがままで だけどなぜかさからえない
えいぎょうむきのせいかくを いかんなくはっきして
いまじゃ どうきのなかでもいちばんの しゅっせがしら

「おまえなにくいたい?」
「・・・はらへってない」
「おまえの すきなもんいえって つきあうから」
「じゃあ すぐそこのきっさてんで」

むかしながらの きっさてんにとうちゃく
さんどいっちとこーひーをちゅうもんしたおれを
はなでわらいながら なぽりたんのおおもりなんて たのんでる
あいつはそれからそっぽをむいたまま
おれのむかいで すぽーつしんぶんなんてひろげてる
さそったくせに なにもきいてこない

「おっ うまそう」
ゆげのたった なぽりたんと さんどいっちがはこばれてくる
あいつはいきなり おれのさらからたまごさんどをうばって ぱくり

「たまごさんどが いちばんすきなのに」
もんくをいったおれに あいつはわらってふぉーくをさしだす
「おまえもこっちくっていいからさ」
なぽりたんは なんだかとても なつかしいあじ

「くいたくなくても とりあえずくってはらにちからいれて」
いきなりのことばに さんどいっちにのばすてがとまる
「そんで えがおでむねはって まっすぐまえみてろ」

なんだ やっぱりしってたんだ
しらないはずないよな ぶちょうがけっそうかえてどなりこんできたしな

「おまえがしんきくさいかおしてたら おまえのぶかもふあんになる」
「・・・わかってる」
「おまえはわるくない だからむねはってまえみてろ」

わざわざそれだけいうために おれをひるにさそったのか
おれのことなんて きにかけることないのに
なきそうになりながら のこりのさんどいっちを くちのなかにおしこんだ

ある ちゅうかんかんりしょくな さらりーまんの いちにち

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□ 759-760 □
【ある ちゅうかんかんりしょくな さらりーまんの いちにち】

あ なきそうなかおしてる



そうむに こうつうひのせいさんしょるいをだしたかえり
まっすぐじぶんのふろあにもどらずに
あいつのふろあに かおをだしてみる



どなるばかりで じぶんではせきにんをとりたがらない
むのうなぶちょうが こうかくにあわをとばしてどなってる
あいつはそのまえで
くちびるをかみしめたまま ゆかにしせんをなげている



どうしたのと ちかくのじょししゃいんにこえをかける
どうやら あいつのぶかのしんじんが
おおきなみすをやらかしたらしい
かんとくふゆきとどき なんてことばがきこえてくる



おれだったら はんろんのひとつもするのに
あいつはただだまって あたまをさげてるだけ
ひょうじょうのない にんぎょうみたいなたんせいなよこがお
あいつは
むかしからじゅんきょうしゃみたいなところがあって
くるしいときや つらいときに
たにんによわねをはくってことを しらない
さけのんで ぐちったほうが すとれすはっさんになるのに
いつもひとりでかかえこんで つくりえがおをうかべるだけ



つらいときは つらいっていえばいいのに
たすけてくれって ひとこといえば
しゅういだって いくらでもてをさしのべるのに
いじっぱりにもほどがある



ごういんにでも うばっちゃえばいいのかな
でも ぷらいどたかいやつだから
ぎゃくに おこってくちきいてくれなくなるかも



けっきょく おれにできることといえば
むりやり しょくじにさそって めしをくわすことくらい
おれは あいつがわらったかおがみたいだけなんだけど



おたがいのそんざいが とくべつになるにはあともうすこし
ある ちゅうかんかんりしょくな さらりーまんのいちにち

■ 505… ■ 

どくりつしています。
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ある はちうえ の いちにち

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