ある せいとの いちにち 2

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26,29 45-46 57-58 140-142 335 481-482 491 551-552 698-699 700-701 724-726 729 774,778 776 781  ■  みっかよりながいにっき / 59-62… 226-228… 301-303… 583-584

□ 26 □

いつものつうがくろ

いつもとおるみち

いつもおなじふうけい

いつもおなじじかんにあうせんぱい

いつもかわらないけどいつまでもかわってほしくないとねがうあるさっかーしょうねんのあさ

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□ 29 □

いつものかえりみち

いつものまちかど

いきなりしらないひとにつかまれてうらろじにつれこまれたおれ

おしたおされてふくをやぶかれた。
なんだよこわいよだれかたすけて

なきながらていこうしてもちからがたりない。
もうだめだ

「なにしてんだてめぇ!!」

こえがしたほうをみると、せんぱいがたってる

せんぱいがおとこにけりをいれた。
さすがえーすすとらいかーのきっく。
おとこはいちげきできぜつした。

「だいじょうぶか?」
やさしいせんぱいのこえ
おれこわくてせんぱいにだきついてわんわんないた。

やっぱりおれはせんぱいがすきだとじっかんしたあるさっかーしょうねんのゆうぐれ

そして、らんぼうされてはだがろしゅつしたこうはいをみてふきんしんにもどきどきしてしまったせんぱいのゆうぐれ。

□ 45-46 □
【ある こいにおちたふりょうのいちにち】

きょうしつのひろいまどからとなりのこうしゃがよくみえる
まどぎわのあいつのよこがお
じゅぎょうなんてきいていられない
じりじりてりつけるおひさまにもまけやしない

ぴしゃ

とつぜんうすいかーてんがおれのしかいをさえぎる
めのまえにたっていたのは となりのせきにすわるいいんちょう
「なにすんだよ」
じゅぎょうちゅう きょうしのめがいたいのでこごえでもんくをいう
いいんちょうはおれをむししてせきにもどった
めがねをなかゆびであげるしぐさ
はぁ? こいつなにおこってんの?

さすがゆうとーせーのいいんちょうは じゅぎょうちゅうにしごなんてしません
しゃーぺんをもったながくてほそいゆびが おれののーとにのびる

あついだろ ばか

たっぴつなもじ しかしばかとはなんだばかとは
しかたないのでかーてんのむこうのあいつへ おもいをはせながら
ぼんやりといいんちょうのよこがおをながめる

あいつほどきれいなよこがおじゃないな
あいつよりまじめにこくばんみてるから めがあうしんぱいないな
あれ?
いいんちょうのせき おれがかげになってるからひもあたらないじゃないか
なんだよ あついとかいっといて…

つまりまじめにじゅぎょううけろってことかよ
くそまじめなやつ
まどからそとをみあげるばかりで いつまでたってもとなりからのしせんにきづかない
あるどんかんなふりょうのいちにち

□ 57-58 □
【あるそのばしのぎなちゅうがくせいのいちにち】

んーんーあーあー

がっしょうぶだけどおんちうけはとてもうたがへたくそだ

おれんとこのがっしょうぶはすごい
こんくーるとかいつもじょういだからじゅけんにもゆうり

そんなすごいがっしょうぶにおんちうけ ひとりだけへたくそ
おまえただ がっしょうぶだってじまんしたかっただけとちがうのかと
もうきいてらんない おれのほうがぜったいうまいし

おまえもうがっしょうぶやめたら?おんちすぎだろ
めだつし かなりめだつし ありえないし

きょとんとしたかおでおんちうけ おれをみる
きけよ とおれはおこる
おんちうけ こっちみる わらってこっちみる

おんち なおんないんだ
こんだけれんしゅーしてもなおんねぇんだ
おれ どっかおかしいのかな おんかんのとこ こわれてんのかな

まいにちれんしゅうほうかごに よるろくじまで
あさかられんしゅう しちじから
それでもなおんねぇのな とわらっておんちうけがいう

わらってるけどかなしそうにいわれてちょっとおれ あせる
どうしようどうしよう いっちゃいけないこといったかな

あすから おれとれんしゅーすればいいじゃん
おれ うたうまいぜ おまえよりずっと
だからあすからおれとれんしゅーすればよくねぇ?

そのばしのぎであとはごまかしてにげちまえと
とっさにてきとうなことをいうおれ

だけどそれをきいたおんちうけ ぱぁっとあかるくなる

おまえとれんしゅーしたらなおるかな
おまえうた うまいもんな やった やった
ありがとな おれおんちだけど よろしくな あすからよろしく

うれしそうなえがおにどきっとする あれ あれ
なんかへん きゅーってした めんどくせぇからことわりたいのに

きゅーってしたまま おもわずうなづく
あすのあさからはまいにちろくじにおきなきゃいけない
そのばしのぎのはずが あれ?なちゅうがくせいのいちにち

□ 140-142 □
【ある ちゅうがくせいの いちにち】

ひさびさにおさななじみと はつもうでにいくことになった
いえのまえでまってると えがおではしってくる おさななじみがみえた

ろめんがとうけつしててあぶないから おれはどじな おさななじみにちゅういする
「すっころぶなよ?」
「だいじょぶひゃ!?」
あーあ ころんでるよ
しかも なに そのひめい
でも こういう おやくそくなところ すきなんだけどね

おきあがるのをてつだったときに ちょっとだけいわかん
「おまえ ちょっとやせた?」
「おまえは せが のびたなー?」
じぶんにつごうのわるい しつもんのこたえを はぐらかすのも かわってない
でもおいつめると ないてしまうから わだいをかえる

「それにしても なんでおれなんか さそったんだよ?」
「だって がっこうちがうから さいきんあえないじゃん?」

あたまのわるい おれとちがって おさななじみは むかしから べんきょうがとくいだった
だからちゅうがくは しりつのしんがくこう と こうりつにわかれた
いちばんなかがよかったけど しょうがねーって すぐにあきらめたのが うしろめたくて
こっちかられんらくしなかったら いつのまにか れんらくがとだえてたのに
ゆうべ とつぜんでんわが かかってきて びっくりした

「だっておまえのとこ すごいしんがくこうだろ?ひまないんじゃねぇ?」
「けっこうなれたから だいじょうぶだし おまえがしんぱいしなくても よゆうだぜ?」
「そっかー」

したたかなかおでわらう おさななじみに すこしきょりをかんじるおれ
むかしは おれのうしろに かくれてるようなやつだったのに
やっぱ ことわればよかったかな ってすこしだけこうかい
なんとなく きまずくて じんじゃまで むごんのみちのり
きょう おみくじひいたら だいきょうがでそうだな

じんじゃについたのに きがついたけど わだいがみつからない
なやんでいると よこで おさななじみが こえをあげた
「きょうは じんじゃのばいてん あいてないのか」
「べつに おみくじとかは じどうきがあるだろ?」
「ちげーよ おまもり ほしかったんだよ」
なんだかきゅうにきげんがわるくなった おさななじみに くびをかしげる

べんきょうならひつようないし なんのおまもりがほしかったんだろ
ふと いまいるじんじゃの うわさをおもいだして じょうだんでもいうくちょうで いう
「もしかして えんむすびのおまもりか?」
そのしゅんかん おさななじみのかおは まっかになった
え おおあたり?

「おまえ すきなやつ できたんだ?」
「ちがう」
そくとうのこたえに すこしだけあんしんする
ひとがいいから きっと だれかにたのまれたんだろう

でもあまのじゃくなおれは ついからかうことばをいってしまう
「まぁまぁ かくすなって!どんなやつなんだよ?」
「ずっとまえからすきだったやつに わたそうとおもって かいにきたんだ!」
おさななじみのことばに こおりつく
だって そんなこと きいたことなかったから
いちばん なかがよかったって おもってたの おれだけ?

「ふーん そうなのか」

やっぱり こなければよかった ってこうかいしても おそい
なきそうなきもちをこらえて なぐさめのことばをくちにする
あるちゅうがくせいの はつもうでのひとこま

□ 335 □

『とつぜんですが、ほんじつのほうかご、ごうこんすることになりました。
あいてはMじょしこうです。ワックスもってたらあとでかして。
きあいいれていきましょう。』

じゅぎょうちゅうに あいつからきためーる
ななめぜんぽう きょうしつのまえのほうにめをやると
あいつはふりかえって ぺしゃんこのかみのけをゆびさす

ねこっけのくせに すぐ かみのけ たてたがる
『いかない。』 そう ひとことだけ へんしん
『なんでだよ!おまえつれてくって いっちゃったんだけど。』 そくへんしん

ほんとうのことは はなせずに 『ようじがあるから。』 と それだけ
おんなのこも ごうこんも あまりすきじゃない
そんなじぶんがきらい きっと おれは ふつうじゃない

わかくもない おんなのせんせいにすら もえもえしてる だんしこうで
おれは ずっと じぶんのことが きもちわるい
めがいくのは みじかいスカートよりも   やわらかいねこっけ

みとめられずに まどのそと ながめて
きこえてくる きょうしのこえ 「わかきひのかっとう」
かっとうがなくなるなら はやく としとりてえよ と こころでさけぶ

『おまえよろこぶかとおもったのに。ワックスいらね。』 とへんしん
よろこべなくてごめん とは おくれない
そんな ある こうこうせいの じゅぎょうちゅう

□ 481-482 □
【ある ちゅうがくせいの いちにち】

うるさいくらいの あぶらぜみのなきごえと
まなつの あすふぁるとの かげろうをつれて
くだりざかをかけぬけ きみは じてんしゃでやってくる

いつもいっしょにすごす ひるさがり
えあこんもない たたみじきのいまで せんぷうきのかぜをうけて
なつやすみのごご だらだらすごす ふたりきりのじかん
いつまでも こうしていられると ほんきでおもってた

けれど このよは しょぎょうむじょう ひとのこころも おなじこと
どこでなにをまちがえたんだろう それとも まちがってなんかいないんだろうか

ぼんやりと まくでおおわれたみたいに きみのこえが なんだかすこしとおい
くりかえしくりかえし かっこわるくなきながら ぼくにいう ずっとすきでした って
もういいよ もうよくわかったから

きづいてたんだ ほんとうは きづいてたんだ
みんな しってたよ きみのきもち

のどがちくちくする ぼくも ないてた

こわくていいだせなかった ぼくのきもちを かわりにはきだすように
とりとめもなく なみだをぼろぼろこぼしながら きみは「すき」をくりかえす

ずいぶんと ながいあいだ そうしてふたりで ないていた
つくえのうえに ほうっておかれたじゅーすは こおりがとけて うすくなっていた
とつぜん きみは はなみずをすすって ぼくをみた

まぬけだね おれ ごめんね わすれてよ
えへへと きみはわらった まっかになっためが ぜんぜん わらってない

かえるじかんだから と きみはいった なきつかれたこえは すこしかすれてた
らいしゅうあうやくそくさ なしにしたいならそれでいいよ ききとれないこえが たしかにそういった

すがりつくように ぼくはきみのゆびをつかまえる これがぼくのせいいっぱい ごめんなさい
きもちはつたわったみたいで きみは ありがとうといって また ちいさくしゃくりあげた

であったころは こんなふうになるなんて かんがえもしなかった それでも
しあわせだから それはそれでいい とおもう
たいせつなともだちが ちがう「たいせつ」になった あるちゅうがくせいの いちにち

□ 491 □
【あるこうこうせいのいちにち】

こいびとができたんだとうれしそうにほうこくされて せかいのおとがぜんぶきえた ↓ いつ? なんで? だっておまえいま すきなやついないって ↓ おんなよりおれといるほうがたのしいって いってたじゃないか ↓ よかったなというじぶんのこえだけしっかりきこえた ↓ うん だけど  ↓ さっきのようすといってん おれのかおをみないでいわれたことばに  なんだよと はんしゃてきにかえした ↓ あのさ かれしなんだよね ↓ それはあたまをなぐられるような  ↓ ありだったのか? おまえそれありだったのか? ↓ せんざいいちぐうのちゃんすなのかどうなのかわからずに ばかみたいにつったているあるこうこうせいのほうかご

□ 551-552 □
【あるちゅうがくせいのいちにち】

まどがわいちばんうしろのせき
きょうもあいつはほんをよんでいる
おれならいちぺーじよんだだけで ねむくなってしまうような
むずかしいほん
あいつのせなかからのぞきこむ
ぺーじをめくるゆびがほそい

じゅぎょうちゅう あいつはまどのそとをみている
あおいそらをうつすひとみ
まるでここにいるひとではないようだ

ひるやすみ
あいつはいつもひとりでめしをくう
おれらのぐるーぷにまざれよ ってさそいたい
でも うつむきがちにもくもくとたべるあいつをみると
はなしかけることすらゆるされないきがする
あいつはきっと ひとりでもさみしくない

いどうきょうしつで まわりがばたばたしているとき
あいつとかたがぶつかった
「ごめんね」
「あ、うん」
むひょうじょうにあやまるあいつに おれはひとことかえすのがせいいっぱいだった
もっとはなしたいのに
あいつはくるっとせなかをむけていってしまう

そうだ
いつもそうなんだ
ちかづこうとしたしゅんかん にげられる

みんなげこうしたあと だれもいないきょうしつ
ゆうひがさす
あいつのせきをじっとみる

つくえのなかから きょうかしょをとりだす
おれのとちがって らくがきひとつないきれいなきょうかしょ
あのほそいゆびがさわったきょうかしょ
なんだか かなしくなってくる

まんなかあたりのぺーじをあける
そして そこからおもいきりやぶった まっぷたつに
ふたつにわかれたのを それぞれまたこまかくやぶる
きょうかしょのざんがい
つくえのなかにつっこんでおいた

あいつ あしたこれをみてどんなかおするかな
おこるかな なくかな
はんにんをさがそうとするだろうか

なんでもいいや
すこしでもあいつのかんじょうがうごくなら

たかねのはなをとろうとして むちゃをしてしまう
ぶきようしょうねんのいちにち

□ 698-699 □
【ある ちゅうがくせいの いちにち】

めざましのおととともに きしょう
かおをあらって はをみがいて きがえて あさごはん
まだ じっかんがわかない

かばんをかついで とうこう
ちょっとちこくぎみなので いそぎあし
まだ じっかんはない

たいくつなじゅぎょうを いち に さんじかん
べんとうくって よじかんめ
ようやくおとずれた ひるやすみ
ぱらだいす・おくじょうへ ひとっとび

とびらよこの てつのはしごものぼって
いちばんうえは おれのひるねすぺーす
じさんのくっしょんをまくらがわりに ごろん ねころがる

あー きもちいいてんき
ぜっこうの ひるねびよりだな なぁ、――――

ふりむいたとなりは からっぽ

きのうからそこは からっぽ
このさき なんにちたっても なんねんたっても からっぽ

あぁそうか あいつもう いないんだっけ
きづいてしまったとたん しかいがぶれだす

ようやく おそすぎるじっかん
そして まにあわなかったじかく

からっぽにせをむけ たいじのようにちぢこまり
ひそやかにおえつをもらす ある たいせつなひとをなくしたちゅうがくせいの ひるやすみ
ちゃいむがなっても どうかもうしばらく このままで

□ 700-701 □
【ある こうこうせいの いちにち】

しずかなとしょしつ ぼくは むかいにすわるあいつをみる
みぎてでほおづえつきながら ほんをよむ
ぼくのしせんに きづくようすもない

とつぜんつくえのうえで ふるえるけいたい
あいつはさっととりあげて がめんをのぞく
わらいをこらえて めーるをうつ

けいたいをとじて ぼくをみる
いこうか と くちをうごかす

いつのまにか そとはあめ
ろうかのまどに しずくがつたう

かさもってないや あいつがいう
ろっかーにもういっぽんおきがさあるから これつかえよ ぼくはさしだすくろいかさ
さんきゅ うけとるあいつのゆびが ぼくのてのこうを かすめる

げたばこにもたれてあいつをまっているかのじょ

となりをあるいていたあいつが かけよる

かのじょのてには あかいかさ

あいつはふりかえって ぼくにいう
おれ こいつのかさにいれてもらうから これ 返すわ ありがとな

ぼくはうけとって はやくちでいう
きょうしつにわすれもの とりにいってくるから じゃあ ここで
むりやりわらって せをむける

おう あしたな せなかにきこえたあいつのこえ
きょうしつにもどるふりして はしるろうか

ちかくのきょうしつにとびこんで ためいきをつく

あいつがえらんだ あかいかさ
ともだちでいようときめたぼくのてには くろいかさ

あめにぬれてかえろうか あるこうこうせいの いちにち

□ 724-726 □
【ある めんどくさがりやの いちにち】

「れんたいせきにんなんだからな おまえもめんどうみろよ」

つきだされたのは あかいきんぎょ
めんどくさくて ぶんかさいをさぼったおれに
いいんちょうが わざわざ もってきた

やだよ めんどくさいし
「なんですと? きのうもきょうもおまえがさぼったから
 うちのきんぎょは たいりょうに のこっちまったんだぞ
 だから れんたいせきにん」
きせつはずれのきんぎょすくいなんか やろうとするからだろ
そんで おまえがかってに おれをたんとうにしたからだろ
「ひとりひとやく わがくらすのもっとーです
 みんな にひきずつ めんどうみることになったんだよ」

しかくしめんないいんちょうは むねをはっていいきると
きんぎょのはいったちいさなふくろを おれにおしつけた

うち きんぎょばちなんかねえぞ
「そういうだろうとおもった」
こっぷか せんめんきか ゆぶねぐらいしか みずをはれるもんないし
うちできんぎょは むりだって つーかめんどうだし
「きょうは せんめんきにおいといてやれよ
 ゆぶねはやめとけ ごかぞくにめいわくだ」

きょうは? きょうはってどういうこと
ききかえすと いいんちょうは しろいはをみせてわらった
「あした すいそうもってきてやるよ
 えさとかぽんぷは いっしょにかいだしにいこう」
なんでいいんちょうと かいだしにいかなくちゃなんねえの?
めんどくさい
だいたい おれ きんぎょ ひきうけるなんていってないし
「いのちあるものは だいじにしないといけないんだぞ
 おまえには そういうきもちが かけてるきがする
 くらすとか ともだちとか そういうのも」

いいんちょうの ちょっきゅうすとれーと
いいんちょうのいうことは いつでも ほんとうのことばかりだ

だから いやなんだ

おれは なにも いえなくなった

だってめんどうじゃん
ともだちとか そういうのって
きたいして うらぎられて きずついて またきたいして
そういうのって しんどいじゃん

くちびるをかんだおれにはきづかずに
いいんちょうは かえっていった
「またあしたな」
えにかいたような さわやかさ
まぶしくて めをそらしたこと きづかれなかったはず

のこされたきんぎょを ほうっておくわけにもいかない
いのちあるものは だいじにしないといけないんだから
こうどうにりゆうをつけて
めんどくさいといいわけしながら せんめんきにきんぎょをうつす
あるめんどくさがりやの ゆうしょくまえ
おやじが せんめんきをさがすこえには きこえないふり

□ 729 □
【ある こいするこうこうせいのいちにち】

あさのひかりのなかで  はしるあいつ

だれもいないきょうしつから  ながめるおれ

あしたから あされんはじまるんだ
あいつのなにげない ひとこと

いつもちこくぎりぎりのおれが
きょうは こんなにはやいとうこう

おれのしせんは あいつにむかい
あいつはまっすぐ ごーるへはしる

さっきから とまらないあくびをかみころす

とうぶんよふかしできないな

ある こいするこうこうせいの ねむけとたたかういちにち

□ 774 □
【ある はじめてさんの いちにち】

「こんどは どんなにおまえがいやがっても だくからな」
うつむいたおれに あいつはそういって へやをでていった
おんなのことだって つきあったことのないおれに
いきなり おとことどうにかなっちゃうなんて できないそうだんだ

さっかーぶしゅしょう ごーるまうすをがっちりまもる あいつと
きんにくとはむえんな としょいいんちょうの おれ
くみしかれるのは どうかんがえたって おれだろう

つきあいはじめて はんとしたって きすどまりなんてありえないと
あいつは くちびるをとがらせてたけど
おれ おんなのこじゃないし すきならもんだいない
なんて わりきれないんだよ

ちゅうとはんぱに はだけられたしゃつには まったくきづかず
ただあたまをかかえこむ ある はじめてさんの ふゆのごご
むねにおちた きすまーくのあかさにきづくのも もうすこしさき

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□ 778 □
【ある はじめてさんの いちにち】

あいつとれんらくがとれなくなって いっしゅうかん
めーるしても へんじなし
でんわしても るすでんばかり
てのなかのけーたいがふるえるのを ずっとずっとまってるのに
あいつからのれんらくが くるけはいはない

そういえば さっかーぶはとしこしがっしゅくだっていってたっけ
れんらくがとれなくても しかたないか
じぶんを なっとくさせようとするけれど うまくいかない

あたまのなか ぐるぐると いやなかんがえだけがかけめぐる
やっぱり あきれられたのかな
したいときにさせてくれる かわいいおんなのこでも みつけたのかな
おれのことなんて どうでもよくなっちゃったかな
そんなことをかんがえてるうちに むねが ばかみたいにいたみだした

ああ やっぱりおれ あいつがすきなんだ
あいつに みすてられるくらいなら
おとこのきょうじも じぶんのかんじょうも
ぜんぶすてていいとおもえるほど
あいつのことが すきなんだ

きりきりといたむむねを てばなせないけーたいでおさえながら
とうとつにきづく ある はじめてさんの ふゆやすみ
だれかのてのひらのうえだとは きづかないまま

□ 776 □
【ある じゅけんせいの いちにち】

くりすますがおわると
また にいちゃんは とうきょうへもどっていく

かきいれどきの ねんまつねんしは かえってこれないな
おまえは しけん がんばれよ

そういって まいていたまふらーをはずすと
えきまでみおくりにきたぼくの くびにかけた

はっしゃをしらせる べる
こなゆきまう ほーむ
みえなくなった でんしゃ

ごうかくは とうきょういきの きっぷ
ごうかくは すきだと つげるための ゆうき

にいちゃんのぬくもりを にがさないよう
かじかんだてで しっかりと まふらーをまきなおす
ある じゅけんせいの いちにち

□ 781 □
【ある あふぉのいちにち】

きょうもやっぱりぼくよりきらきらしてて きょうもやっぱりにせのえがおで まわりを よろこばす

ぼくは とおくでみるしかできない だけど ちかづきたくて ぼくは てをのばしてつかみとるように きみのかげをさわろうとする

きみはせいふくのすそを ひるがえして またどこかとおくでわらう

もしかしたらと てのひらをみても めのまえには からっぽな ぼくのてがある

あこがれ
すき
あいしてる

すべてをこえた
なきたくないから へらへらとわらった
こらえきれずに ほっぺになにかがつたった

ねえ きみは なけないのかい

どうやら ぼくに なみだのこんとろーるはできないみたいだ

あるあふぉのせつないいちにち

■ 59-62… ■ 

どくりつしています。
こちらへどうぞ。

ある としょいいん と まっちょないちねん の いちにち

・1.5スレめからのけいぞくにっきです。

■ 226-228… ■ 

どくりつしています。
こちらへどうぞ。

ある いいんちょうの いちにち

■ 301-303… ■ 

どくりつしています。
こちらへどうぞ。

ある こうはい の いちにち

■ 583-584… ■ 

どくりつしています。
こちらへどうぞ。

ある こわいものぎらいうけ の いちにち

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